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Dr.新原の健康講座

2019年5月20日 月曜日 11:01

音楽療法の話

音楽は人間の生活の一部と言っても過言ではないと思います。人類の歴史上いつの時代にも、どの人種にも言葉があったのと同様、音楽もあり、それは培われてきました。そして最近その音楽に、医療的価値があることが注目されるようになってきました。

日常、音楽は多様な形で私たちに関わってきますが、確かに心を落ち着かせる音色、旋律もあるかと思えば、気分を害する雑音や騒音のような音があり、それぞれにより私たちの精神状態、肉体的な症状などに影響があるのを感じます。簡単な例を挙げますと、早いテンポの軽やかな曲は、自然と体をダンスに誘うかのように、それに合わせて体を動かしたくなりますし、逆にゆっくりとした静かなメロディーは眠気を誘う時があります。教会などで賛美歌を歌う方に聞く話によると、イライラしてどうしようもない時に、賛美歌をお腹の底から声を出して歌うと、精神的にとても安定し、気持ちがよくなるそうです。元気を失っている時、カラオケなどで歌うと気分がスカーッとするというのも、よく聞きます。

私たちの神経はとても敏感で、それを通して与えられる感覚に私たちの体、心は強く影響されます。音楽による刺激も、それが正しく使われると痛みが和らぎ、免疫力も上がるというデータが論文となっています。それから失読症という文字を読むのが難しくなる神経性の疾患の治療にも役立つという結果が出ています。特に興味深いのが、バッハとモーツァルトの曲が特に体に合っているという研究結果です。もちろん、西洋音楽以外でもそのような効果の見られる音楽があると予想されます。しかし、バッハが痛みを緩和させ、モーツァルトが失読症治療の助けになるというのは、この時代、実験でしっかりと示されていて、バッハとモーツァルトの音楽が世界で一番多くの人々に愛されていると言われていますが、その意味がわかるような気がします。

他にも、精神分裂症、躁鬱病、アレルギー、アトピー性皮膚炎などにも音楽療法が効くと言われていて、これからもその治療範囲は広がっていくでしょうね。もちろん音楽療法は現在、ほとんどの場合、補完療法として位置づけられ、主流の治療を怠ってはいけません。でもその反面、音楽療法でよくなることが立証されている疾患に関しては、補完治療として積極的に使うべきです。

音楽療法士という職業がありますが、まだ残念なことに医療機関の中ではあまり普及していません。音楽療法士のアドバイスを受けることが出来れば幸いですが、そうできなかったとしても、心が落ち着く音楽、癒してくれる音楽というのは確かに存在しています。主治医の指導のもと、主流の治療に併せて音楽鑑賞なども上手く取り入れながら、病気からの回復、健康管理の助けにしてみてはいかがでしょうか。

2019年4月19日 金曜日 11:51

過敏性腸症候群の話

ちょっと長いタイトルになりましたが、過敏性腸症候群という病名をお聞きになったことがあるでしょうか?もしかすると英語名の方が聞き覚えがあるかもしれません。英語では“Irritable Bowel Syndrome” です。結構頻度は高いため、アメリカ人の方ならば大抵の方がご存知の病名です。実際、人口の30%は人生のどこかで経験するようで、多くの方はこの疾患のため長期にわたって苦労され、心身共にお疲れになっているようです。

症状は下痢であったり便秘であったり両方であったり的を絞るのが難しく、その上、お腹がガスで張ったり痛かったりして、何か大きな病気があるのではと心配が重なります。もちろん、過敏性腸症候群自体は小さな病気ではないのですが、大腸ガンのように命に関わるというような場合はほとんどないため、余計に軽々しくあしらわれる時もあり、それがまたストレスを多くする原因ともなります。

原因は、大腸や小腸の運動と分泌機能の異常によるものであるらしく、外見的な問題は腸内に見られません。ですので、症状は潰瘍やガンに似ているところがあるのですが、検査をしてみると特別に大きな問題は見受けられず、患者さんが安心すると共に、どうしたらいいのか迷ってしまうこともあります。

腸の動きや分泌が異常になる原因として、自律神経の問題や不安、そしてストレスがよくあげられます。過去に経験した恥ずかしいと思う体験や、精神的ストレスなどでつらい時、お腹が痛くなったり、食べてもすぐに下痢をしてしまう状態に似ています。ただ、過敏性腸症候群の場合、それが持続的にあり、ストレスや辛い経験が自覚できなくても胃腸の症状が出る状態です。それに加え、自律神経失調症などが慢性的にあり、それが腸の機能を慢性的に異常にしている状態も診断の対象となります。

治療としては症状を抑えるために、便秘気味の場合は下痢、下痢気味の場合は腸の動きを緩やかにする薬などがあります。しかし、それ以上に大切なのは、原因を追究し治療することです。精神的ストレスが自覚しなくてもあるのかを調べ、必要に応じて治療をします。そのためには心療内科の治療が必要になるかもしれません。自律訓練法なども、専門家のもとで行われればとても効果的です。そして、食生活や生活習慣がもし乱れているのなら、それを正さなければいけません。タバコを控え、お酒を適量にする、もしくは控え、食生活のバランスを整えて食事の時間も安定させ、質の良い睡眠をとるのです。

最後に、過敏性腸症候群は自分では診断しないでください。上記のような腸の異常が感じられましたら、まず診療を受け、早期ガンなどを見落とさないでください。

2019年3月25日 月曜日 13:42

花粉症の話

暖かい季節になりましたね。私の近所でも今年も色とりどりの花が咲き始め、木々も青々としてきました…。まではよかったのですが、それと一緒にくしゃみ、目のかゆみ、そして、涙、鼻水、と例年のごとく花粉症もちゃんと戻ってきてくれました。たいていの場合は、〝重症″と言いがたく、あまり大げさにするには恥ずかしいような気もするコンディションですが、兎に角、厄介なものである事を否定する人も少ないと思います。

この疾患は、名前のごとく花粉などによるアレルギーです。春になりますと色々な粉状の蛋白質の物体が大気の中を飛び回るようになります。私たちのカラダというのは、本来、外敵に対抗する為に抗体を作るのですが、それは、バクテリアとかウィルス等から体を守る為です。外敵というのは殆ど蛋白質の成分を持っていて、抗体はそれらに対して作られます。勿論、蛋白質でも、外敵でないものに対して体は、抗体を作らずにそれらを受け入れ、共存できるようになっているのですが、その働きが上手くいかなくなり、外敵でないものに対しても抗体を作ってしまう時のことをアレルギーと呼んでいます。

花粉症の症状は上記の通りで鼻炎、結膜炎、微熱などによるものが殆どで、それほどの病気でもないのに、普通に仕事をしたり生活をしたりするのが難しいですね。一世代前と比べてこの疾患をもつ人口が増えた理由として、世の中に加工物、公害が増えた為ではないかとの仮説も取り上げられております。花粉等、自然の蛋白質だけなら花粉症になる率はそれほど高くないのですが、それらに公害や加工物等が合わさった時、抗体が出来やすくなると言うことです。そして、一度花粉症になってしまうと花粉等自然のものだけが鼻の粘膜などにくっ付いても体が抗体によって反応してしまいです。

まだ花粉症の症状が出ていない方は予防として、室内浄気機などを使い、できるだけ顆粒子の少ない空気の中で多くの時間を過ごすことができれば良いでしょう。しかし、なかなか現実的には難しいですね。外ではマスクをして空気をフィルターすることも一つの方法です。

症状がすでに出ていらっしゃる方は、シャワーなどの蒸気で粘膜を潤すことにより粘膜の炎症をある程度抑えることができます。薬は抗ヒスタミン剤、抗ロイコトリエン剤、ステロイド剤、プソイドエフェドリン等、様々です。これらの薬は皆、症状を抑える薬で、病気の根本は治せません。ただ症状を放っておくと、粘膜等に弊害として感染を起こしたり、また、脱水症状など起こす場合がありますので、主治医と相談しながらそれらの薬をお使いください。根本治療についてはアレルギー専門医にご相談ください。代替治療も見直されてきておりますので、そちらも、主治医、又専門の方々と相談されながら、考えられても宜しいのではと思います。ただし、代替治療はあまり規制がないので、その辺を特に注意してください。

2019年2月22日 金曜日 14:00

口内炎の話

私事になってしまいますが、身体に無理を強いて仕事をしたり、旅行をしたりした後はよく口内炎が出ます。始めに口の粘膜が一部荒れてきたような感じがしたかなと思うと、次の日にはそこに潰瘍が出来ていて、結構ひどい痛みが伴います。似たような経験をされた方も、読者の皆様の中には多いのではないでしょうか。ここに描写されている口内炎は、再発性アフタ性口内炎という種類のもので、一般的に口内炎といいますとこの種のものを指します。これは疲れた時などに多く診られ、原因ははっきりと分かってはいないのですが、ビタミン不足であったり、粘膜が比較的弱くなっていたり、噛んだりして粘膜を頻繁に傷つけたりしているとなりやすいようです。大抵の場合、発生後一週間から十日ぐらいで治りますが、他の病気などで身体の調子が良くない時などはもっと長引く可能性もあり、身体全体の休息、健康回復が大切になります。時には二次的感染する時もあるので、できるだけ口の中を清潔に保つようにしていただきたいです。

この口内炎になった時に、一番大切なのは十分な栄養素と水分を摂ることです。痛みなどでそれらが妨げられる時は、主治医に相談して下さい。たかが口内炎であっても、そのような場合は身体に大きな打撃となりかねません。幸いほとんどのケースは痛みを伴うにも関わらず、栄養素や水分は十分に摂取できるので、何も特別なことをしなくても、一定の時が過ぎると治ってしまうのがしばしばです。治療としては、ビタミンをはじめ栄養素をバランスよく摂ること、そして疲労がたまらないぐらいのスケジュールを保つことです。必要であれば、痛み止めや専用の軟膏なども症状を緩和するのに役立ちます。

これは誰にでも当てはまることではありませんが、私は口内炎が出るようになると自分の生活やスケジュールを少し見直します。当たり前のような話ですが、まだインターンで当直が多い頃、よく口内炎が出ました。しかしそんな時でも、休暇になるとほとんど出ることはなく、私自身に関しては口内炎の発生が自分の身体の疲労にとてもよく比例しているようです。

ところで他にも口内炎の種類は色々あります。バクテリア、そしてウィルスなどによる感染によるものでもあり、アフタ性と区別して診断をしないといけません。バクテリアが原因のもので代表的なのはジフテリア、淋病、猩紅熱などで、どれも熱と身体全体の症状があります。それらは速やかな抗生物質の治療を必要とします。ウィルス性のものは疱疹、麻疹、単核細胞症などがあります。疱疹に限って抗ウィルス剤が効きますが、それ以外は症状緩和に加え、栄養素と水分摂取の維持が治療の中心です。バクテリアであれ、ウィルスであれ、感染によるものはアフタ性と比べ症状が重く、大抵、医療施設での治療が大切になります。自己免疫症が原因の口内炎もあります。

最後に、口内炎の原因が癌または前癌状態である可能性もあることを心得ていて下さい。それでは。

2019年1月21日 月曜日 11:34

東洋医学と西洋医学の話

漢方薬、鍼、指圧、足つぼ療法等がいわゆる東洋医学として知られております。言うまでもなく、東洋医学のカバーする分野は上記の例をはるかに超え、歴史も何千年も続いており、その知識と理解の深さには現代人を驚かすものがたくさんあります。よく東洋医学は非科学的であると批判されることもありますが、私個人的には決してそのようには見えません。そこには長年の観察、経験による豊富な学問があり、真剣に取り組んできた医学者たちの足跡を見ることができます。

東洋医学に比べ、西洋医学は新しいという意見もありますね。しかし西洋医学にもとても長い歴史があり、東洋医学同様、真剣に医療に取り組んできた研究者たちの記録があり、その中に努力して学問を築いてきた人々の姿を垣間見ることができます。

今日なぜこのような題目のコラムを書かせていただいているかと言いますと、最近あまりにも多くの方々が、東洋医学や西洋医学が何であるのかもよくわからないのに、無理にそれらの間に溝を作っている人々の意見を聞くためです。それは患者さんや一般の方々だけでなく、医療に関わる人々からも、偏見をむき出しにして語られるのを耳にするからです。そしてそのような意見は、医療の妨げになると私は確信しています。

病気の種類が様々であるように、診断や治療の方法も様々であり、常に進化していますし、それは常に過去の経験や知識が土台として進化するべきです。本当の意味で患者さんに治療を施そうとすれば、東洋医学も西洋医学もそれぞれが尊重され、最大限に用いられるはずです。

私自身、いわゆる「西洋医学」を学んだ者ですが、鍼などの治療効果と可能性には魅了され、それを知れば知るほど驚かされます。私はそれらを「東洋医学」という傘下に一応おさめますが、もっと大きな「医学」という傘の下に「西洋医学」同様のレベルに置いて、自分の患者さんがその治療の対象となるべき疾患を持っていると判断した時は、躊躇せずそれらをお勧めしております。

東洋であれ西洋であれ、患者さんによく注意していただきたいのは、お医者様を選ぶのに、少なくとも自分の家を選ぶ時くらいの努力をされることです。やはり他の患者さん、医療に関わっている人々の意見が大きいと思います。自分の周りを見回すと、医療関係の人間が、知人、家族、親戚に結構いるものです。そうでなくとも、今では医療関係者情報を提供するサービスもあります。それらを上手く利用して良いお医者さま選びをなさってください。

2018年12月20日 木曜日 09:29

喘息の話

病気になった時に体験する辛さは色々とありますが、息が苦しい事ほど苦しい症状はないでしょう。目の前から命が吸い出されてしまいそうな辛さだとおっしゃる方もいるくらいです。そしてまさに喘息は、その苦しさの典型と言っていいかもしれません。

喘息になりますと、気管支が非常に細くなってしまうため、空気をよく吸えなく、また息を吐き出せなくなってしまいます。それはそれは辛いらしく、発作が起きると皆「生きた心地がしない」と言います。経験された事のない方は、鼻をつまみストローを口にくわえ、それだけで2分間呼吸する事で、どれほど喘息の方が苦労されているかを少し感じる事が出来ると思います。実際に発作が起こりますと、ほんの数分の間に窒息する場合もあります。

世界で喘息の患者さんの数は、約3億人と言われています。世界人口の約5%です。日本やアメリカでも患者さんの数は、5%~10%の間で、その内約1000人に1人が毎年喘息で亡くなられています。死因の多くは治療が遅れるか、重度の発作を軽度のものと診過ごしてしまうことにより起こります。

この病気は大きく分けて、アトピー型と非アトピー型があります。アトピー型はアレルギーと関係していて、アレルギーの反応を引き起こす因子が存在します。その因子の事を環境刺激因子というのですが、それは患者さんにより様々でして、主にハウスダスト、薬、食事、運動、ウイルス感染、タバコ、アルコール、気圧変化などがあげられます。それらのうちどれか、患者さんが反応する因子に接しますと、それに過剰反応を起こし、気管支狭窄が促されるのです。非アトピー型は、原因がまだはっきりしていません。しかし過労やウイルスの持続感染による炎症などが加担している事は分かってきています。

この病気の診断を受けた場合、または症状がある場合、どうすれば良いのでしょうか?

とても大切なのは、病気を真剣に扱い、主治医の指示をしっかりと守る事です。もちろん納得いかない場合は、セカンドオピニオンも良いでしょう。しかしどちらにしろ、自分の状態を良く理解して指示して下さる先生に診ていただいて下さい。主治医の指示に従い、気管支抗炎症薬と気管支拡張薬を、上手く使い分けることがとても大切です。発作が起きた場合、手持ちの気管支拡張薬などを使う事もとても大切です。しかしもっと大切なのは、すぐに最寄りの医療機関で診てもらえるという事です。必要に応じては、人工呼吸器を使わないといけないぐらい重症の場合もありますので、発作は甘く見ないことです。出掛ける時、処方された薬を忘れず、また行く目的地ごとに最寄りの医療機関がどこにあるかを把握しておく事も良いと思います。深呼吸できる事がどれほどの恵みか、お忘れにならないで下さい。

それではまたこの次まで。

2018年11月20日 火曜日 13:44

脂肪肝の話

肝臓は、万能生理化学工場と言いたくなるぐらい、体が必要とするたくさんの成分を造り、あるいは蓄積し、必要に応じてそれらを体中に送り出してくれます。脂肪もわたしたちが健康であるためには大切な成分です。脂肪は代謝により、酵素、ホルモン、そしてエネルギーなどに変えられますが、それらの成分はどれをとっても分量が多すぎても、少なすぎても体には負担となります。ですので、必要とされるまでは、脂肪細胞の中で出番を待っています。脂肪は脂肪細胞の中ではかなりの量になるまでは体には負担となりません。

その脂肪を吸収し代謝するのが肝臓です。肝臓は脂肪細胞から送られてくる血中の中性脂肪と小腸から直接入ってくる食事による脂肪を代謝のため使います。それから肝臓は自身も脂肪を造ることも出来ます。

前置きが長くなりましたが、今回の本題である脂肪肝についてです。これはよく聞く診断ですが、その名のごとく肝臓に脂肪が溜まってしまうことを指します。上記にあるように肝臓は脂肪をたくさん利用するので、肝臓に脂肪があること事態は当たり前のことのように思えますね。しかし、脂肪もある程度以上溜まりますと、酸化などにより、肝細胞を傷つけます。通常、肝臓には脂肪が溜まり過ぎないように体がバランスをとるのですが、いろいろな理由でそのバランスが崩れることがあります。

簡単に考えますと、脂肪が溜まるということは、脂肪を吸収しすぎるか、脂肪を十分に代謝しきれないか、またはその両方が理由となります。実際、原因としてあげられるのは食べ過ぎです。よく言われるのは、フォアグラのように脂肪分の多いものを食べ続けますと、肝臓が代謝しきれないほどの脂肪を吸収して脂肪肝をつくります。その次によくみられるのが、アルコールの摂り過ぎです。アルコールは一種の油ですから、脂肪にもなりやすいです。その上、アルコールは肝臓の機能に影響をあたえるので、代謝も十分でなくなります。肥満と2型糖尿病も脂肪肝を発症させます。その理由はインスリンに対する抵抗力が脂肪代謝に障害を起こすからです。そのほか、妊娠、薬剤なども脂肪肝を起こすことがあります。

脂肪肝の症状はほとんどの場合、何もなく、健康診断や他の病気の検査などの時に診断されます。あえて症状といえば、肝炎などを伴う時は腹部右上のあたりの痛みが診られます。治療として大切なのは原因を把握し、それに対応することです。習慣で治せるものは、食べ過ぎ、飲み過ぎなどです。肥満も体質によるものが多いですが、体質に合わせた食事と運動でほとんどが改善されます。

他の場合もそうですが、特に糖尿病、妊娠による脂肪肝は専門医の指導の下で治療してください。脂肪肝は治ります。ただそれを長い間放置しておくと、肝臓にダメージを与え、肝炎、肝硬変に至る可能性がありますので、できるだけ早く治すように努力してください。それでは。

2018年10月19日 金曜日 09:37

高血圧の話

誰でも身近な人、またはご自身が高血圧の診断を下された事があると思います。しかし、頻繁に聞く診断ですので、結構真剣に取られない事も多い病名です。皆様を心配させるつもりはもちろん毛頭もありませんが、今日はこの疾患についてその破壊力の潜在性を少しでも理解していただいて、それに積極的に対処していただきたいと願いつつ、このコラムを書いております。

まずはその破壊力ですが、高血圧は次のような病気の原因となります。脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、狭心症、腎臓不全、動脈瘤、その他数多くの生死に、または生活の豊かさに大きく影響を及ぼす病気のもとです。

いったい何が高血圧をもたらすのでしょうか?色々な理由と原因がありますが、たいていの場合は体のどこかに十分に血液が流れていない事を体自体が察し、それに対処しようとしているのです。ですから運動しているときなどは体の必要に合わせて健康的に運動中だけ適度に血圧も上がります。

しかし運動していないときでも血圧が上がるようになるのは、血管に異常が生じて血液が流れにくくなるときなどです。このような状態が非常に危険です。

血管や血液に異常をもたらす環境は、自分で毎日体内にせっせと造っていることが多いのをご存じですか。脂肪の多い食事をされた後に採血をしますと、血中に吸収された脂肪分を目の当たりにする事が出来ます。普通は赤色ですが水のようにさらさらと流れる血も、脂肪分を沢山含みますとピンク色になり、ドロドロとするのが良く分かります。無論、誰でもたまに天ぷらとか、油身の多いステーキなどを食べられる事もあると思います。私たちの体はそれなりに良く出来ていまして、それらのドロドロとした脂肪もテキパキと代謝して、体にある程度必要な善玉コレステロールや体脂肪に変えてくれます。ただ運動もあまりせずに、いつもそのような食事ばかりしていると、脂肪分が十分に代謝しきれず、それが「悪玉」と言われるコレステロールとして溜まっていってしまいます。脂肪の多い食事の後のドロドロとした血や悪玉コレステロールは、長い間血中にありますと血管の内皮をとても傷めます。そうしますと余計に血液の循環が悪くなり、高血圧や心筋梗塞、又脳梗塞などになりやすくなります。

言うまでもなく、タバコも血圧にはよくありません。タバコは血管をまず必要以上に収縮させ、血小板を異常活性させ、血をベタベタにさせ、その上に血管を直接傷めます。他にも害の非常に多いタバコですが、血圧にもとても悪いです。

当たり前ですが、上記の問題は生活習慣を変えることでほとんど改善できます。野菜、果物、ナッツを中心とした食事を摂り、タバコを控え、適度のお酒の生活、それに日々適度の運動(あまりストレスのかからないもの)を加えた生活習慣を実行する事ができれば、大半の高血圧は「高潔明日」に変わります。それでは次回まで健康的な生活をお送りください。

 

2018年9月21日 金曜日 09:48

燃え尽き症候群の話

今でも食事も忘れて熱中していたような仕事やほかのさまざまな活動に対し、急に意欲をなくし目標を失うような経験をしたことはないでしょうか。これは鬱に似ている部分もありますが少し特徴があり、熱中していたことに対し、急に理由も分からずにやる気を失ってしまうところに焦点が置かれています。ウィキペディアの言葉を借りますと、燃え尽き症候群とは「一つのことに没頭していた人が慢性的に絶え間ないストレスが持続すると、意欲をなくし、社会的に機能しなくなってしまう症状」と言われています。

多くの場合は、周りに対する責任の多い職についている方が燃え尽き症候群になりやすいようです。たとえば、会社の管理職、看護師や他の医療関係の職、教職、消防士や警官などの市民を守る職、といった方々です。その他にも、管理職でなくとも会社に対する責任感の強い社員などもなりやすいようです。それからもう一つ典型的なのは、オリンピック選手のように、ある大きな目標うぃもって人生のすべてをかけてきた人々が、目的を達成してしまった後に起こるケースです。

なぜ上記に触れたような方々がこの症候群を発症しやすいかは大体の想像がつくと思います。少し強い言い方をしますと、大抵の場合、生活のバランスを崩して活動を続けてきたために人生の視野が狭くなり、可能性はまだまだ無限にあることが見えなくなってしまうのが大きな理由です。休みなしに体を動かせば故障をきたすように、精神も休みなしに一つのことばかりに集中していれば、バランスを失ってしまいます。

燃え尽き症候群は、以前お話しした過労のように肉体的に体が疲れすぎて倒れるというのではなく、精神的に倒れてしまうことなのです。ある意味で、これは精神上の過労です。

この疾患の症状に気がついたら、早いうちにカウンセラーや主治医に相談してください。そして、出来れば原因となっている仕事や活動から少し離れ、自分が今までしたかったけれど気持ちや時間に余裕がなかったためできなかった趣味とか、自分の大切な人々とのんびり過ごすような時間をとることをお勧めいたします。

まだ症状は出ていないけれども、自分もいつかは燃え尽き症候群になるのではと思えるような生活をしている方は今から手を打つことです。仕事に集中し、一生懸命頑張るということは決して悪いことではありません。ただ、それを続けるにあたり、自分に精神的な余裕を与えることを忘れてはいけません。できることなら、週に一日は仕事を忘れて何かに取り組んだり、また自分の大切な人と余裕のある時を過ごしたりすることです。そうすることにより、また新しい意欲が湧き出てくることでしょう。人生には、今熱中していることと同じか、それ以上に大切なことがあることを思い出してください。

2018年7月20日 金曜日 09:43

貧血の話

よく感じるのですが、漢字を取り入れた日本語は、読む人にとても優しい言葉だと感じます。この貧血という単語も医学を知らずとも、字を見ればどのような状態を示すのか、なんとなく伝わってきます。ところでこの貧血、とても種類が多いのです。この紙面ですべてカバーすることは出来ませんが、今日も簡単にですが主要な種類についてお話させていただき、どのような症状に特に注意すべきかを考えてみましょう。

私たちの細胞ひとつひとつは、血液の循環によって支えられています。それは酸素や栄養素の運搬、供給、そして排出物の排除、さらに免疫、止血などに関わっており、組織や臓器が正常に働くためには欠かせないものです。血液は大きく分けて、赤血球、白血球、血小板、そして血漿からできています。医学的に貧血と言いますと、血液の赤血球の部分が低下することを指します。

貧血でまず代表的なのは、鉄分欠乏症貧血で、これは特に子供、女性に多く見られます。赤血球が機能するためには鉄分が必要とされるのですが、急激な成長や慢性の出血などにより、体内の鉄分が足りなくなります。そうなりますと赤血球が製造されにくくなり、貧血が起こります。治療は鉄分を摂取する事で大抵の場合良くなるのですが、何が理由で鉄分が減ったかを追求する必要があります。胃炎や胃腸の腫瘍が、慢性出血の原因になっているかどうかを調べる必要が出てくる場合も多いです。ビタミンB12、また葉酸の欠乏による貧血もよく聞かれる種類のひとつです。大切なのは、ビタミンを含めたバランスの良い栄養を摂り続けることです。しかし悪性貧血という名の貧血になってしまいますと、ビタミンB12を吸収するのが難しくなります。その場合、注射による供給が必要となります。胃の摘出手術をされた方なども、ビタミンB12は吸収しにくくなっておりますので、主治医の先生に、数ヶ月に一度は必ず血液の状態を診ていただき、必要であれば注射による治療を受けて下さい。

この他貧血の種類は、腎不全によるもの、慢性的な炎症によるもの、甲状腺の異常によるもの、大量の出血によるもの、そして白血病をはじめとするあらゆる骨髄の病気によるものがあります。正しい検査によって、それらの診断は可能です。

目まい、息切れ、動悸、慢性的な体のだるさなどは、貧血の症状でもあります。それらの症状が出ましたら、出来るだけ早く検査をされます事をお勧めいたします。万が一、それらの症状が急にひどくなった場合は、救急車を呼ぶことを考えて下さい。輸血がすぐに必要となる場合もありますが、命には代えられません。それではまた。

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プロフィール

Dr. Yutaka Niihara(新原豊), MD, MPH

1959年生まれ。東京都出身。
ロマ・リンダ大学宗教学科卒、同大学医学部卒。
ハーバード大学公衆衛生学修士卒。
Emmaus Life Sciences, Inc. President and CEO
UCLA 医学部教授(University of California, Los Angeles Harbor-UCLA Medical Center)

エマウス・メディカル・ジャパン株式会社

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