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Dr.新原の健康講座

2019年5月20日 月曜日 11:01

音楽療法の話

音楽は人間の生活の一部と言っても過言ではないと思います。人類の歴史上いつの時代にも、どの人種にも言葉があったのと同様、音楽もあり、それは培われてきました。そして最近その音楽に、医療的価値があることが注目されるようになってきました。

日常、音楽は多様な形で私たちに関わってきますが、確かに心を落ち着かせる音色、旋律もあるかと思えば、気分を害する雑音や騒音のような音があり、それぞれにより私たちの精神状態、肉体的な症状などに影響があるのを感じます。簡単な例を挙げますと、早いテンポの軽やかな曲は、自然と体をダンスに誘うかのように、それに合わせて体を動かしたくなりますし、逆にゆっくりとした静かなメロディーは眠気を誘う時があります。教会などで賛美歌を歌う方に聞く話によると、イライラしてどうしようもない時に、賛美歌をお腹の底から声を出して歌うと、精神的にとても安定し、気持ちがよくなるそうです。元気を失っている時、カラオケなどで歌うと気分がスカーッとするというのも、よく聞きます。

私たちの神経はとても敏感で、それを通して与えられる感覚に私たちの体、心は強く影響されます。音楽による刺激も、それが正しく使われると痛みが和らぎ、免疫力も上がるというデータが論文となっています。それから失読症という文字を読むのが難しくなる神経性の疾患の治療にも役立つという結果が出ています。特に興味深いのが、バッハとモーツァルトの曲が特に体に合っているという研究結果です。もちろん、西洋音楽以外でもそのような効果の見られる音楽があると予想されます。しかし、バッハが痛みを緩和させ、モーツァルトが失読症治療の助けになるというのは、この時代、実験でしっかりと示されていて、バッハとモーツァルトの音楽が世界で一番多くの人々に愛されていると言われていますが、その意味がわかるような気がします。

他にも、精神分裂症、躁鬱病、アレルギー、アトピー性皮膚炎などにも音楽療法が効くと言われていて、これからもその治療範囲は広がっていくでしょうね。もちろん音楽療法は現在、ほとんどの場合、補完療法として位置づけられ、主流の治療を怠ってはいけません。でもその反面、音楽療法でよくなることが立証されている疾患に関しては、補完治療として積極的に使うべきです。

音楽療法士という職業がありますが、まだ残念なことに医療機関の中ではあまり普及していません。音楽療法士のアドバイスを受けることが出来れば幸いですが、そうできなかったとしても、心が落ち着く音楽、癒してくれる音楽というのは確かに存在しています。主治医の指導のもと、主流の治療に併せて音楽鑑賞なども上手く取り入れながら、病気からの回復、健康管理の助けにしてみてはいかがでしょうか。

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プロフィール

Dr. Yutaka Niihara(新原豊), MD, MPH

1959年生まれ。東京都出身。
ロマ・リンダ大学宗教学科卒、同大学医学部卒。
ハーバード大学公衆衛生学修士卒。
Emmaus Life Sciences, Inc. President and CEO
UCLA 医学部教授(University of California, Los Angeles Harbor-UCLA Medical Center)

エマウス・メディカル・ジャパン株式会社

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