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Dr.新原の健康講座

2019年4月19日 金曜日 11:51

過敏性腸症候群の話

ちょっと長いタイトルになりましたが、過敏性腸症候群という病名をお聞きになったことがあるでしょうか?もしかすると英語名の方が聞き覚えがあるかもしれません。英語では“Irritable Bowel Syndrome” です。結構頻度は高いため、アメリカ人の方ならば大抵の方がご存知の病名です。実際、人口の30%は人生のどこかで経験するようで、多くの方はこの疾患のため長期にわたって苦労され、心身共にお疲れになっているようです。

症状は下痢であったり便秘であったり両方であったり的を絞るのが難しく、その上、お腹がガスで張ったり痛かったりして、何か大きな病気があるのではと心配が重なります。もちろん、過敏性腸症候群自体は小さな病気ではないのですが、大腸ガンのように命に関わるというような場合はほとんどないため、余計に軽々しくあしらわれる時もあり、それがまたストレスを多くする原因ともなります。

原因は、大腸や小腸の運動と分泌機能の異常によるものであるらしく、外見的な問題は腸内に見られません。ですので、症状は潰瘍やガンに似ているところがあるのですが、検査をしてみると特別に大きな問題は見受けられず、患者さんが安心すると共に、どうしたらいいのか迷ってしまうこともあります。

腸の動きや分泌が異常になる原因として、自律神経の問題や不安、そしてストレスがよくあげられます。過去に経験した恥ずかしいと思う体験や、精神的ストレスなどでつらい時、お腹が痛くなったり、食べてもすぐに下痢をしてしまう状態に似ています。ただ、過敏性腸症候群の場合、それが持続的にあり、ストレスや辛い経験が自覚できなくても胃腸の症状が出る状態です。それに加え、自律神経失調症などが慢性的にあり、それが腸の機能を慢性的に異常にしている状態も診断の対象となります。

治療としては症状を抑えるために、便秘気味の場合は下痢、下痢気味の場合は腸の動きを緩やかにする薬などがあります。しかし、それ以上に大切なのは、原因を追究し治療することです。精神的ストレスが自覚しなくてもあるのかを調べ、必要に応じて治療をします。そのためには心療内科の治療が必要になるかもしれません。自律訓練法なども、専門家のもとで行われればとても効果的です。そして、食生活や生活習慣がもし乱れているのなら、それを正さなければいけません。タバコを控え、お酒を適量にする、もしくは控え、食生活のバランスを整えて食事の時間も安定させ、質の良い睡眠をとるのです。

最後に、過敏性腸症候群は自分では診断しないでください。上記のような腸の異常が感じられましたら、まず診療を受け、早期ガンなどを見落とさないでください。

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プロフィール

Dr. Yutaka Niihara(新原豊), MD, MPH

1959年生まれ。東京都出身。
ロマ・リンダ大学宗教学科卒、同大学医学部卒。
ハーバード大学公衆衛生学修士卒。
Emmaus Life Sciences, Inc. President and CEO
UCLA 医学部教授(University of California, Los Angeles Harbor-UCLA Medical Center)

エマウス・メディカル・ジャパン株式会社

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