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Dr.新原の健康講座

2020年12月18日 金曜日 15:12

拒食症の話

拒食症とは摂食障害のひとつで、文字どおり食べる事を拒むために起こる障害です。食事を拒むという選択をする意味自体が疾患であり、普通の栄養失調などとは別にされ、医学的には精神疾患のひとつと考えられています。実際にその精神状態を示すかのように、この病気は医学関係者達のあいだでは神経性無食欲症、または神経性食欲不振症という専門用語で呼ばれています。

当たり前の事ですが、ほとんどの人が食事に対し興味を持ち、また食事は生きていくために必要な行動です。それは拒食症の患者さんたちにも大抵の場合当てはまります。では彼らにとって、何が問題になっているのでしょうか?それはどうやら、自分の外見や内面に対する劣等感が大半のようです。矛盾しているのは、客観的には見て外見に劣等感をどうして持つのかと思えるような、整った容姿の方々が拒食症に苦しんでいる事が多いのです。

歪んだ自分のイメージを持つようになった要因として、心理的、社会的、生物学的な要素が考えられます。簡単に説明しますと、心理的要因として、虐待を受けたり、心が傷つくような言葉をあびせられたりした事が、精神状態に影響する状況をつくっている場合があります。社会的要因とは、マスコミや芸能界などの求める異常な基準が一般人に不安感をもたらせ、精神状態が不安定になる場合などを指します。そして最後に生物学的要因ですが、これは脳内の先天性または後天性で原因不明の変化により拒食症になる場合を指します。

拒食症の治療法は、二つの面をバランスよく診て対応していく事が大切です。まず第一に栄養素の面ですが、少しずつカロリー、ビタミンそして微量養分の一日摂取を正常に近づけていくことです。勿論、経口による正常量の栄養素摂取が最終目標ですが、身体が衰弱してしまっているほどの、状態が既に深刻である時には高カロリー輸液などを最初に必要とする場合もあります。また、同時に多くの臓器がすでに不全症を起こしている場合はそれぞれの臓器をモニターしなければなりません。たとえば心臓など、不整脈のあるかないかを確認し、それを防ぐ、または治療する対策をします。言うまでも無く、これらは医師を始めとする治療チームの仕事です。
続いて第二の点ですが、それは精神面についてです。前述のようにこの疾患は精神的なものが大きな原因となっています。ですから、心療内科治療を中心とした療法を必要とします。他の疾患と同じく早期治療法が治療率を高めますので、拒食症が疑われたらすぐに主治医に相談する事をお勧めいたします。そして最後に、拒食症は患者の周りの方々のサポートを多く必要とする病気である事を強調して今日はペンを置くことにします。それでは次回まで。

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プロフィール

Dr. Yutaka Niihara(新原豊), MD, MPH

1959年生まれ。東京都出身。
ロマ・リンダ大学宗教学科卒、同大学医学部卒。
ハーバード大学公衆衛生学修士卒。
Emmaus Life Sciences, Inc. President and CEO
UCLA 医学部教授(University of California, Los Angeles Harbor-UCLA Medical Center)

エマウス・メディカル・ジャパン株式会社

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