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Dr.新原の健康講座

2021年1月20日 水曜日 15:15

褥瘡(じょくそう)の話

褥瘡とはとても難しい漢字ですが、床ずれを意味する医学用語です。体を自由に動かすことのできない患者さんたち、そしてその周りの方々は大抵、褥瘡がどれほど大きな問題であり、厄介なものであるかをご存知です。これは体の一部に圧力が常にかかるため、血行に障害を起こすことから始まる疾患ですが、その重篤さは4段階に分けて示されます。第1度は患部の辺りが赤くなり、炎症を起こした状態になります。第2度になりますと、それは皮膚を壊し、湿り気を持ちます。小さな水ぶくれなどもできる時があります。第3度では皮膚の下にある皮下脂肪組織まで壊死が広がり、とても治り難い状態になります。第4度では筋肉を越え骨まで患部が広がり、問題はとても深刻です。

褥瘡は患部にかかる圧力を減らし、血行を良くするだけで、回復に向かうものもありますが、時にはそれだけでは改善しないケースもあり治癒に時間と手間のかかるものも多いです。特に、重篤度が高いものはいくら圧力を減らしても、なかなか治らない場合が多いです。

対策として一番大切なのは、なんと言っても予防です。患者さんが長期的に寝たきりになってしまうときには、定期的にその体勢を変えてあげて、一箇所だけに圧力がかかり続けないようにすることが大切です。それから、圧力のかかりやすい部分に柔らかいクッションなどをおいて、圧力をできるだけ分散することも大切です。

体勢を変えるのは日中できれば1時間おきくらいにしていただきたいです。夜の間は、看病する方にも負担が大き過ぎますし、患者さんの眠りをあまり妨げるのは良くないので、ほとんどの場合は患者さんをあまり動かさなくても良いです。理想的には、できるだけ良いマットレスを使うことで圧力が一箇所にかかり過ぎないようにされることです。

それから、圧力のかかる体の部分が清潔で適度の湿り気を持たせる状態にしておくことも大切です。あまり乾きすぎないように、時々ローションなどを塗りこみ、皮膚の弾力性を保つのも予防につながります。バランスの取れた栄養摂取もとても重要です。

褥瘡ができてしまったら、とにかく患部の血行をよくしなければなりません。圧力は避けられるだけ避けます。膿などを十分に洗い流し、清潔にすることもとても大切です。しかし消毒薬をたくさん使うのではなく、きれいな水か生理食塩水などで洗わなければなりません。できれば1日2回洗浄していただきたいです。壊死してしまった部分は洗浄だけで排除されることもありますが、時には簡単な手術による摘出も必要とされます。感染してしまった場合、たいてい抗生物質をつかいます。

栄養素は予防にも治療にも大切で、グルタミンなどのアミノ酸、微量の亜鉛なども褥瘡の治癒を早める作用がありますので主治医の指示に従ってお使いください。

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プロフィール

Dr. Yutaka Niihara(新原豊), MD, MPH

1959年生まれ。東京都出身。
ロマ・リンダ大学宗教学科卒、同大学医学部卒。
ハーバード大学公衆衛生学修士卒。
Emmaus Life Sciences, Inc. President and CEO
UCLA 医学部教授(University of California, Los Angeles Harbor-UCLA Medical Center)

エマウス・メディカル・ジャパン株式会社

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