スポーツとL-グルタミン
アスリートが試合でベストパフォーマンスを発揮するため、真っ先に取り組まなければならないのが「コンディションづくり」です。「コンディションづくり」とは、アスリート自身が感じる「主観的コンディション」に、体重や体温、心拍数など「客観的な指標」を加えながら、現在の状態を評価します。その上で評価に基づいたトレーニングや栄養の摂取、バランスの良い疲労回復を行って、競技力向上を目指しましょう。そうしたアスリートにとって、L-グルタミンは注目すべき栄養素です。
L-グルタミンが、トレーニングなどで使い切ってしまったグリコーゲンのケアを促進させることが研究で明らかになりました。(注1)
研究では、エネルギーの貯蔵庫であるグリコーゲンを運動で枯渇させた状態にして、L-グルタミンを投与したところグリコーゲンは16%増加したそうです。運動後のグリコーゲンの増加は、疲労ケアを意味しますので、L-グルタミンの摂取により速やかな疲労ケアが期待できます。
(注1) Stimulatory effect of glutamine on glycogen accumulation in humanskeletal muscle.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7653548
また負荷の高い筋力トレーニングを行っていると筋肉量が減ってしまうことがあります。これは筋肉修復にはエネルギー源としてL-グルタミンが必要ですが、もし体内に蓄積したグルタミンで足りない場合、筋肉を分解してエネルギーとするためです。(注2)L-グルタミンを十分摂取することで筋肉の分解抑制が期待できます。
(注2) Effect of Exercise on Protein Turnover in Man
http://www.clinsci.org/content/61/5/627
さらに別の研究では、L-グルタミンを1回2g経口投与したところ、成長ホルモンのレベルが430%上昇したそうです。(注3)
成長ホルモンには疲労ケアと筋肉のケアを促進させる作用があります。L-グルタミンを摂取で、成長ホルモンの分泌が高まれば、疲労ケアと筋肉のケアの促進が期待できます。
(注3) AMERICAN JOURNAL OF CLINICAL NUTRITION
http://ajcn.nutrition.org/content/61/5/1058.abstract
以上のようにL-グルタミンは、トレーニングの後のリカバリー、コンディショニングにおいて注目の栄養素といえます。その働きを十分理解し、適切なタイミングに適切な量を摂取すれば、アスリートのコンディショニングを強力にサポートすることになるでしょう。