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Dr.新原の健康講座

2018年11月20日 火曜日 13:44

脂肪肝の話

肝臓は、万能生理化学工場と言いたくなるぐらい、体が必要とするたくさんの成分を造り、あるいは蓄積し、必要に応じてそれらを体中に送り出してくれます。脂肪もわたしたちが健康であるためには大切な成分です。脂肪は代謝により、酵素、ホルモン、そしてエネルギーなどに変えられますが、それらの成分はどれをとっても分量が多すぎても、少なすぎても体には負担となります。ですので、必要とされるまでは、脂肪細胞の中で出番を待っています。脂肪は脂肪細胞の中ではかなりの量になるまでは体には負担となりません。

その脂肪を吸収し代謝するのが肝臓です。肝臓は脂肪細胞から送られてくる血中の中性脂肪と小腸から直接入ってくる食事による脂肪を代謝のため使います。それから肝臓は自身も脂肪を造ることも出来ます。

前置きが長くなりましたが、今回の本題である脂肪肝についてです。これはよく聞く診断ですが、その名のごとく肝臓に脂肪が溜まってしまうことを指します。上記にあるように肝臓は脂肪をたくさん利用するので、肝臓に脂肪があること事態は当たり前のことのように思えますね。しかし、脂肪もある程度以上溜まりますと、酸化などにより、肝細胞を傷つけます。通常、肝臓には脂肪が溜まり過ぎないように体がバランスをとるのですが、いろいろな理由でそのバランスが崩れることがあります。

簡単に考えますと、脂肪が溜まるということは、脂肪を吸収しすぎるか、脂肪を十分に代謝しきれないか、またはその両方が理由となります。実際、原因としてあげられるのは食べ過ぎです。よく言われるのは、フォアグラのように脂肪分の多いものを食べ続けますと、肝臓が代謝しきれないほどの脂肪を吸収して脂肪肝をつくります。その次によくみられるのが、アルコールの摂り過ぎです。アルコールは一種の油ですから、脂肪にもなりやすいです。その上、アルコールは肝臓の機能に影響をあたえるので、代謝も十分でなくなります。肥満と2型糖尿病も脂肪肝を発症させます。その理由はインスリンに対する抵抗力が脂肪代謝に障害を起こすからです。そのほか、妊娠、薬剤なども脂肪肝を起こすことがあります。

脂肪肝の症状はほとんどの場合、何もなく、健康診断や他の病気の検査などの時に診断されます。あえて症状といえば、肝炎などを伴う時は腹部右上のあたりの痛みが診られます。治療として大切なのは原因を把握し、それに対応することです。習慣で治せるものは、食べ過ぎ、飲み過ぎなどです。肥満も体質によるものが多いですが、体質に合わせた食事と運動でほとんどが改善されます。

他の場合もそうですが、特に糖尿病、妊娠による脂肪肝は専門医の指導の下で治療してください。脂肪肝は治ります。ただそれを長い間放置しておくと、肝臓にダメージを与え、肝炎、肝硬変に至る可能性がありますので、できるだけ早く治すように努力してください。それでは。

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プロフィール

Dr. Yutaka Niihara(新原豊), MD, MPH

1959年生まれ。東京都出身。
ロマ・リンダ大学宗教学科卒、同大学医学部卒。
ハーバード大学公衆衛生学修士卒。
Emmaus Life Sciences, Inc. President and CEO
UCLA 医学部教授(University of California, Los Angeles Harbor-UCLA Medical Center)

エマウス・メディカル・ジャパン株式会社

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