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Dr.新原の健康講座

2019年8月22日 木曜日 10:17

エコノミークラス症候群の話

今、飛行機の中でこの原稿を書いているのですが、よく聞かれるようになった病名の一つに”エコノミークラス症候群”がありますね。これは、足から心臓の右側に至る所までつながっている大きな静脈の中で、血液の循環が悪くなったため、血の塊ができてしまう事によって起こる病気です。静脈血管内で凝血を起こしますと動脈と違い、幸い細胞や組織の酸欠や壊死などはめったにありません。しかし、炎症を起こします。そして、その周りが腫れ、痛みを伴うようになります。最悪の場合、固まった血の塊が心臓右室を通り肺動脈までたどり着き、呼吸難や心不全などを起こし死に至ることもある、とてもバカにはできないのです。

もともと血液とは、一寸したことでも凝結して、怪我をした場合でも出血を最少限に抑えることができます。しかし、血管内にはいろいろな仕組みがあり、血が常に液体としての状態を保てるようにしております。ですので、考えて見ますと逆に、血管の中で血が固まらないということはとてもすごいことなのです。

血液が血管の中を常に川のように一つの方向へ向かって流れているということが、血が固まるのを防ぐ一つの条件です。狭い場所でジッとしていることが、また空気が乾いた所で十分に水分を取らないでいますと、血が濃くなり流れにくくなります。飛行機の中というのは、まさにその二つのコンディションが重なった場所ですね。言うまでもなく、別に飛行機の中でなくとも同じ様な状況は私たちの生活の中でよく見かけます。たとえば長期間のバスでの移動、自動車の遠乗り、家の中で動かずに長期間テレビを座って観ているときなどです。もちろん、そのような状態でも、”エコノミークラス症候群”はおこりえます。

予防としてできることは簡単ですし、多くあります。まずは、一時間に一度ぐらい、立つなどして足を伸ばし、動かすこと。足の筋肉がポンプのような動きをして血液を心臓へ向けて流してくれます。次に、水分を適度に取り、脱水を防ぐこと。水分の必要性は、健康な人とそうでない人では差がありますので、主治医の先生からアドバイスをいただいて下さい。それから、私の場合、長時間の飛行機旅行の前には、搭乗前にアスピリンを一錠飲みます。アスピリンは血小板の活性化を防ぎ、血栓などができにくくするからです。これも多くの方がすでにされていることですが、個人差がありますので、一応、使用前に主治医の先生と相談してください。

タバコは、たとえ一服でも血液をどろどろにしますので控えることをお勧めします。その他、糖尿病、ネフローゼ、高脂肪症などをはじめとする、多くの疾患は血を固まりやすくします。当てはまる方は、やはり主治医の先生方に相談してください。

それでは、この次の連載まで皆様の健康を願いつつ、又、私自身も注意して旅行してまいります。

2019年7月19日 金曜日 12:50

鼻血の話

だれもが経験されたことがあると思う鼻血ですが、これには様々な原因があります。しかし幸いとほとんどのケースは大事にいたるものではなく、簡単な応急処置ですみます。止血の処置として効果があるのは出血している場所への圧力です。鼻血の場合、鼻の真ん中ぐらいのところ(鼻の骨のすぐ下辺り)を押さえ、血が鼻孔から垂れてくるのを防ぎます。勿論、こうしても出血の位置が鼻のもっと奥であるのがほとんどですが、鼻孔から血が流れ出なくなっているので、鼻の中に血が溜まり、それが出血している場所への圧力となり、止血を促します。通常ですと5分から10分で鼻血は止まるはずです。鼻血が止まりましたら、まず血の塊を鼻から出してください。その際、鼻血が再発するときもあります。そのときはもう一度鼻の同じ場所を前回よりも少し長めに押さえてください。鼻血がとまりましたら、また鼻をかんで血の塊を出してあげてください。その後、血に汚れた鼻を水で洗いたくなると思いますが、止血を安定させるために10分から15分ほど待った方がよろしいです。

このような処置について皆様もよくご存じだと思われますが、そのようにした後でも出血が止まらない時は、医療機関に連絡してください。鼻血はほとんど、軽い鼻腔の粘膜の炎症や傷によるものです。しかし時には体の異常の危険信号でもあるので、異常に長時間続く出血、右左にかたよらずどちらの鼻孔からでも頻繁に起こる出血はしっかりと診療していただいてください。

深刻な原因なのですが、まず私が気になるのは、血の生産が問題になっている病気です。それには白血病をはじめ、あらゆる骨髄の病気が含まれます。それらの疾患は血小板という止血にはとても大切な成分が足りなくなるため、出血しやすくなり、また止血がとても難しくなります。その次に心配なのが高血圧です。血圧が高くなると粘膜の毛細血管にも圧力がかかります。粘膜は皮膚とくらべ毛細血管のまわりを防御する細胞があまりなく、大気にさらされている状態であるため壊れやすく、血圧が普通以上ですと比較的簡単に血管が破れ、出血してしまうのです。

他にも多くの原因がありますが、最後にもう一つお伝えしたいのは、血管の異常です。動脈と静脈とのつながりに問題があるとき、出血しやすくなります。出血が始まるとゆっくりと血がでる簡単な鼻血だと思えるのに、何時間も延々と続くときがあります。これは耳鼻科の先生にしっかりと治療していただかなければいけません。特に心臓や肺に問題のある方々に当てはまります。出血はそれらの臓器に多くの負担をかけるからです。おかしな話に聞こえるかもしれませんが、鼻血のために出血多量となり命に関わるような状態になった患者さんもおります。

「たかが鼻血、されど鼻血」

時には危険信号の一つであると心得てください。ではまた。

2019年6月20日 木曜日 16:10

疲労の話

私は、会議と言う名目でハワイに滞在することがありますが、以前訪問したニューヨークと対照的で気持ちがとてものんびりとして、毎日6ヶ月ぐらい寿命が伸びていくような気分です。

確かに、神経、筋肉、血管などが再生されているのを感じます。忙しくしているとき、身体がパンクしそうになっても気付かず、つい必要以上の無理を身体に強いていたのかもしれません。きっと読者の皆様の中には同調される方々もいらっしゃるのではないでしょうか。

働き盛りで仕事が良くできエネルギーいっぱいの方々は「今、ちょっと大変だけどまだ平気。それに今休めば会社が困る」と言い、身体の危険信号を無視していないでしょうか。

当たり前の事ですが、身体は確かに休養を必要とします。私たちは仕事で身体を使う他、食事をして栄養を取り廃棄物を出すのが不可欠です。私たちの身体の細胞一つ一つも同じで栄養素を吸収し、廃棄物を出し栄養素を使って古くなった細胞を新しい細胞を取替え、臓器の壊れた部分をつくろうという事を繰り返しています。無論これらをするのに時間がかかります。これらの事はエネルギー補給とメンテナンスのようなもので、それを怠ればいうまでも無く身体は消耗してしまいます。

過労による症状は循環器、神経系のものが多いです。高血圧、胸の痛み、息切れ、手や足のしびれなどが診られたら危険信号と思ってください。イライラや異常な疲労も見逃せない症状です。

糖尿病の気のある方は血糖がコントロールしにくくなる事もあります。又、多くの方々は過労によりうつ気味になる場合がよく診られます。うつを始めとし、症状の多くは本人が気付かない時、又は無視する時があるので、周りの方々のサポート、助言がとても大切です。

忙しすぎると思われる方々、過労の症状が診られる方々は是非休養を取られ主治医と相談してください。休養は何日も取るものでなくても一日でも半日でも定期的にとられる事をお勧めいたします。出来るだけ自然に近づきストレスなどを避けてください。ギャンブルなどはかえって過労をひどくする事が多いです。バランスの良い生活を営んでください。どんなに仕事が出来ても倒れてしまったらどうにもなりません。

最後に、怠慢も身体にはよくないです。でも時には忘れかけていた身近な楽しみも思い出してのんびりしてください。それでは、次回までAloha!

 

2019年5月20日 月曜日 11:01

音楽療法の話

音楽は人間の生活の一部と言っても過言ではないと思います。人類の歴史上いつの時代にも、どの人種にも言葉があったのと同様、音楽もあり、それは培われてきました。そして最近その音楽に、医療的価値があることが注目されるようになってきました。

日常、音楽は多様な形で私たちに関わってきますが、確かに心を落ち着かせる音色、旋律もあるかと思えば、気分を害する雑音や騒音のような音があり、それぞれにより私たちの精神状態、肉体的な症状などに影響があるのを感じます。簡単な例を挙げますと、早いテンポの軽やかな曲は、自然と体をダンスに誘うかのように、それに合わせて体を動かしたくなりますし、逆にゆっくりとした静かなメロディーは眠気を誘う時があります。教会などで賛美歌を歌う方に聞く話によると、イライラしてどうしようもない時に、賛美歌をお腹の底から声を出して歌うと、精神的にとても安定し、気持ちがよくなるそうです。元気を失っている時、カラオケなどで歌うと気分がスカーッとするというのも、よく聞きます。

私たちの神経はとても敏感で、それを通して与えられる感覚に私たちの体、心は強く影響されます。音楽による刺激も、それが正しく使われると痛みが和らぎ、免疫力も上がるというデータが論文となっています。それから失読症という文字を読むのが難しくなる神経性の疾患の治療にも役立つという結果が出ています。特に興味深いのが、バッハとモーツァルトの曲が特に体に合っているという研究結果です。もちろん、西洋音楽以外でもそのような効果の見られる音楽があると予想されます。しかし、バッハが痛みを緩和させ、モーツァルトが失読症治療の助けになるというのは、この時代、実験でしっかりと示されていて、バッハとモーツァルトの音楽が世界で一番多くの人々に愛されていると言われていますが、その意味がわかるような気がします。

他にも、精神分裂症、躁鬱病、アレルギー、アトピー性皮膚炎などにも音楽療法が効くと言われていて、これからもその治療範囲は広がっていくでしょうね。もちろん音楽療法は現在、ほとんどの場合、補完療法として位置づけられ、主流の治療を怠ってはいけません。でもその反面、音楽療法でよくなることが立証されている疾患に関しては、補完治療として積極的に使うべきです。

音楽療法士という職業がありますが、まだ残念なことに医療機関の中ではあまり普及していません。音楽療法士のアドバイスを受けることが出来れば幸いですが、そうできなかったとしても、心が落ち着く音楽、癒してくれる音楽というのは確かに存在しています。主治医の指導のもと、主流の治療に併せて音楽鑑賞なども上手く取り入れながら、病気からの回復、健康管理の助けにしてみてはいかがでしょうか。

2019年4月19日 金曜日 11:51

過敏性腸症候群の話

ちょっと長いタイトルになりましたが、過敏性腸症候群という病名をお聞きになったことがあるでしょうか?もしかすると英語名の方が聞き覚えがあるかもしれません。英語では“Irritable Bowel Syndrome” です。結構頻度は高いため、アメリカ人の方ならば大抵の方がご存知の病名です。実際、人口の30%は人生のどこかで経験するようで、多くの方はこの疾患のため長期にわたって苦労され、心身共にお疲れになっているようです。

症状は下痢であったり便秘であったり両方であったり的を絞るのが難しく、その上、お腹がガスで張ったり痛かったりして、何か大きな病気があるのではと心配が重なります。もちろん、過敏性腸症候群自体は小さな病気ではないのですが、大腸ガンのように命に関わるというような場合はほとんどないため、余計に軽々しくあしらわれる時もあり、それがまたストレスを多くする原因ともなります。

原因は、大腸や小腸の運動と分泌機能の異常によるものであるらしく、外見的な問題は腸内に見られません。ですので、症状は潰瘍やガンに似ているところがあるのですが、検査をしてみると特別に大きな問題は見受けられず、患者さんが安心すると共に、どうしたらいいのか迷ってしまうこともあります。

腸の動きや分泌が異常になる原因として、自律神経の問題や不安、そしてストレスがよくあげられます。過去に経験した恥ずかしいと思う体験や、精神的ストレスなどでつらい時、お腹が痛くなったり、食べてもすぐに下痢をしてしまう状態に似ています。ただ、過敏性腸症候群の場合、それが持続的にあり、ストレスや辛い経験が自覚できなくても胃腸の症状が出る状態です。それに加え、自律神経失調症などが慢性的にあり、それが腸の機能を慢性的に異常にしている状態も診断の対象となります。

治療としては症状を抑えるために、便秘気味の場合は下痢、下痢気味の場合は腸の動きを緩やかにする薬などがあります。しかし、それ以上に大切なのは、原因を追究し治療することです。精神的ストレスが自覚しなくてもあるのかを調べ、必要に応じて治療をします。そのためには心療内科の治療が必要になるかもしれません。自律訓練法なども、専門家のもとで行われればとても効果的です。そして、食生活や生活習慣がもし乱れているのなら、それを正さなければいけません。タバコを控え、お酒を適量にする、もしくは控え、食生活のバランスを整えて食事の時間も安定させ、質の良い睡眠をとるのです。

最後に、過敏性腸症候群は自分では診断しないでください。上記のような腸の異常が感じられましたら、まず診療を受け、早期ガンなどを見落とさないでください。

2019年3月25日 月曜日 13:42

花粉症の話

暖かい季節になりましたね。私の近所でも今年も色とりどりの花が咲き始め、木々も青々としてきました…。まではよかったのですが、それと一緒にくしゃみ、目のかゆみ、そして、涙、鼻水、と例年のごとく花粉症もちゃんと戻ってきてくれました。たいていの場合は、〝重症″と言いがたく、あまり大げさにするには恥ずかしいような気もするコンディションですが、兎に角、厄介なものである事を否定する人も少ないと思います。

この疾患は、名前のごとく花粉などによるアレルギーです。春になりますと色々な粉状の蛋白質の物体が大気の中を飛び回るようになります。私たちのカラダというのは、本来、外敵に対抗する為に抗体を作るのですが、それは、バクテリアとかウィルス等から体を守る為です。外敵というのは殆ど蛋白質の成分を持っていて、抗体はそれらに対して作られます。勿論、蛋白質でも、外敵でないものに対して体は、抗体を作らずにそれらを受け入れ、共存できるようになっているのですが、その働きが上手くいかなくなり、外敵でないものに対しても抗体を作ってしまう時のことをアレルギーと呼んでいます。

花粉症の症状は上記の通りで鼻炎、結膜炎、微熱などによるものが殆どで、それほどの病気でもないのに、普通に仕事をしたり生活をしたりするのが難しいですね。一世代前と比べてこの疾患をもつ人口が増えた理由として、世の中に加工物、公害が増えた為ではないかとの仮説も取り上げられております。花粉等、自然の蛋白質だけなら花粉症になる率はそれほど高くないのですが、それらに公害や加工物等が合わさった時、抗体が出来やすくなると言うことです。そして、一度花粉症になってしまうと花粉等自然のものだけが鼻の粘膜などにくっ付いても体が抗体によって反応してしまいです。

まだ花粉症の症状が出ていない方は予防として、室内浄気機などを使い、できるだけ顆粒子の少ない空気の中で多くの時間を過ごすことができれば良いでしょう。しかし、なかなか現実的には難しいですね。外ではマスクをして空気をフィルターすることも一つの方法です。

症状がすでに出ていらっしゃる方は、シャワーなどの蒸気で粘膜を潤すことにより粘膜の炎症をある程度抑えることができます。薬は抗ヒスタミン剤、抗ロイコトリエン剤、ステロイド剤、プソイドエフェドリン等、様々です。これらの薬は皆、症状を抑える薬で、病気の根本は治せません。ただ症状を放っておくと、粘膜等に弊害として感染を起こしたり、また、脱水症状など起こす場合がありますので、主治医と相談しながらそれらの薬をお使いください。根本治療についてはアレルギー専門医にご相談ください。代替治療も見直されてきておりますので、そちらも、主治医、又専門の方々と相談されながら、考えられても宜しいのではと思います。ただし、代替治療はあまり規制がないので、その辺を特に注意してください。

2019年2月22日 金曜日 14:00

口内炎の話

私事になってしまいますが、身体に無理を強いて仕事をしたり、旅行をしたりした後はよく口内炎が出ます。始めに口の粘膜が一部荒れてきたような感じがしたかなと思うと、次の日にはそこに潰瘍が出来ていて、結構ひどい痛みが伴います。似たような経験をされた方も、読者の皆様の中には多いのではないでしょうか。ここに描写されている口内炎は、再発性アフタ性口内炎という種類のもので、一般的に口内炎といいますとこの種のものを指します。これは疲れた時などに多く診られ、原因ははっきりと分かってはいないのですが、ビタミン不足であったり、粘膜が比較的弱くなっていたり、噛んだりして粘膜を頻繁に傷つけたりしているとなりやすいようです。大抵の場合、発生後一週間から十日ぐらいで治りますが、他の病気などで身体の調子が良くない時などはもっと長引く可能性もあり、身体全体の休息、健康回復が大切になります。時には二次的感染する時もあるので、できるだけ口の中を清潔に保つようにしていただきたいです。

この口内炎になった時に、一番大切なのは十分な栄養素と水分を摂ることです。痛みなどでそれらが妨げられる時は、主治医に相談して下さい。たかが口内炎であっても、そのような場合は身体に大きな打撃となりかねません。幸いほとんどのケースは痛みを伴うにも関わらず、栄養素や水分は十分に摂取できるので、何も特別なことをしなくても、一定の時が過ぎると治ってしまうのがしばしばです。治療としては、ビタミンをはじめ栄養素をバランスよく摂ること、そして疲労がたまらないぐらいのスケジュールを保つことです。必要であれば、痛み止めや専用の軟膏なども症状を緩和するのに役立ちます。

これは誰にでも当てはまることではありませんが、私は口内炎が出るようになると自分の生活やスケジュールを少し見直します。当たり前のような話ですが、まだインターンで当直が多い頃、よく口内炎が出ました。しかしそんな時でも、休暇になるとほとんど出ることはなく、私自身に関しては口内炎の発生が自分の身体の疲労にとてもよく比例しているようです。

ところで他にも口内炎の種類は色々あります。バクテリア、そしてウィルスなどによる感染によるものでもあり、アフタ性と区別して診断をしないといけません。バクテリアが原因のもので代表的なのはジフテリア、淋病、猩紅熱などで、どれも熱と身体全体の症状があります。それらは速やかな抗生物質の治療を必要とします。ウィルス性のものは疱疹、麻疹、単核細胞症などがあります。疱疹に限って抗ウィルス剤が効きますが、それ以外は症状緩和に加え、栄養素と水分摂取の維持が治療の中心です。バクテリアであれ、ウィルスであれ、感染によるものはアフタ性と比べ症状が重く、大抵、医療施設での治療が大切になります。自己免疫症が原因の口内炎もあります。

最後に、口内炎の原因が癌または前癌状態である可能性もあることを心得ていて下さい。それでは。

2019年1月21日 月曜日 11:34

東洋医学と西洋医学の話

漢方薬、鍼、指圧、足つぼ療法等がいわゆる東洋医学として知られております。言うまでもなく、東洋医学のカバーする分野は上記の例をはるかに超え、歴史も何千年も続いており、その知識と理解の深さには現代人を驚かすものがたくさんあります。よく東洋医学は非科学的であると批判されることもありますが、私個人的には決してそのようには見えません。そこには長年の観察、経験による豊富な学問があり、真剣に取り組んできた医学者たちの足跡を見ることができます。

東洋医学に比べ、西洋医学は新しいという意見もありますね。しかし西洋医学にもとても長い歴史があり、東洋医学同様、真剣に医療に取り組んできた研究者たちの記録があり、その中に努力して学問を築いてきた人々の姿を垣間見ることができます。

今日なぜこのような題目のコラムを書かせていただいているかと言いますと、最近あまりにも多くの方々が、東洋医学や西洋医学が何であるのかもよくわからないのに、無理にそれらの間に溝を作っている人々の意見を聞くためです。それは患者さんや一般の方々だけでなく、医療に関わる人々からも、偏見をむき出しにして語られるのを耳にするからです。そしてそのような意見は、医療の妨げになると私は確信しています。

病気の種類が様々であるように、診断や治療の方法も様々であり、常に進化していますし、それは常に過去の経験や知識が土台として進化するべきです。本当の意味で患者さんに治療を施そうとすれば、東洋医学も西洋医学もそれぞれが尊重され、最大限に用いられるはずです。

私自身、いわゆる「西洋医学」を学んだ者ですが、鍼などの治療効果と可能性には魅了され、それを知れば知るほど驚かされます。私はそれらを「東洋医学」という傘下に一応おさめますが、もっと大きな「医学」という傘の下に「西洋医学」同様のレベルに置いて、自分の患者さんがその治療の対象となるべき疾患を持っていると判断した時は、躊躇せずそれらをお勧めしております。

東洋であれ西洋であれ、患者さんによく注意していただきたいのは、お医者様を選ぶのに、少なくとも自分の家を選ぶ時くらいの努力をされることです。やはり他の患者さん、医療に関わっている人々の意見が大きいと思います。自分の周りを見回すと、医療関係の人間が、知人、家族、親戚に結構いるものです。そうでなくとも、今では医療関係者情報を提供するサービスもあります。それらを上手く利用して良いお医者さま選びをなさってください。

2018年12月20日 木曜日 09:29

喘息の話

病気になった時に体験する辛さは色々とありますが、息が苦しい事ほど苦しい症状はないでしょう。目の前から命が吸い出されてしまいそうな辛さだとおっしゃる方もいるくらいです。そしてまさに喘息は、その苦しさの典型と言っていいかもしれません。

喘息になりますと、気管支が非常に細くなってしまうため、空気をよく吸えなく、また息を吐き出せなくなってしまいます。それはそれは辛いらしく、発作が起きると皆「生きた心地がしない」と言います。経験された事のない方は、鼻をつまみストローを口にくわえ、それだけで2分間呼吸する事で、どれほど喘息の方が苦労されているかを少し感じる事が出来ると思います。実際に発作が起こりますと、ほんの数分の間に窒息する場合もあります。

世界で喘息の患者さんの数は、約3億人と言われています。世界人口の約5%です。日本やアメリカでも患者さんの数は、5%~10%の間で、その内約1000人に1人が毎年喘息で亡くなられています。死因の多くは治療が遅れるか、重度の発作を軽度のものと診過ごしてしまうことにより起こります。

この病気は大きく分けて、アトピー型と非アトピー型があります。アトピー型はアレルギーと関係していて、アレルギーの反応を引き起こす因子が存在します。その因子の事を環境刺激因子というのですが、それは患者さんにより様々でして、主にハウスダスト、薬、食事、運動、ウイルス感染、タバコ、アルコール、気圧変化などがあげられます。それらのうちどれか、患者さんが反応する因子に接しますと、それに過剰反応を起こし、気管支狭窄が促されるのです。非アトピー型は、原因がまだはっきりしていません。しかし過労やウイルスの持続感染による炎症などが加担している事は分かってきています。

この病気の診断を受けた場合、または症状がある場合、どうすれば良いのでしょうか?

とても大切なのは、病気を真剣に扱い、主治医の指示をしっかりと守る事です。もちろん納得いかない場合は、セカンドオピニオンも良いでしょう。しかしどちらにしろ、自分の状態を良く理解して指示して下さる先生に診ていただいて下さい。主治医の指示に従い、気管支抗炎症薬と気管支拡張薬を、上手く使い分けることがとても大切です。発作が起きた場合、手持ちの気管支拡張薬などを使う事もとても大切です。しかしもっと大切なのは、すぐに最寄りの医療機関で診てもらえるという事です。必要に応じては、人工呼吸器を使わないといけないぐらい重症の場合もありますので、発作は甘く見ないことです。出掛ける時、処方された薬を忘れず、また行く目的地ごとに最寄りの医療機関がどこにあるかを把握しておく事も良いと思います。深呼吸できる事がどれほどの恵みか、お忘れにならないで下さい。

それではまたこの次まで。

2018年11月20日 火曜日 13:44

脂肪肝の話

肝臓は、万能生理化学工場と言いたくなるぐらい、体が必要とするたくさんの成分を造り、あるいは蓄積し、必要に応じてそれらを体中に送り出してくれます。脂肪もわたしたちが健康であるためには大切な成分です。脂肪は代謝により、酵素、ホルモン、そしてエネルギーなどに変えられますが、それらの成分はどれをとっても分量が多すぎても、少なすぎても体には負担となります。ですので、必要とされるまでは、脂肪細胞の中で出番を待っています。脂肪は脂肪細胞の中ではかなりの量になるまでは体には負担となりません。

その脂肪を吸収し代謝するのが肝臓です。肝臓は脂肪細胞から送られてくる血中の中性脂肪と小腸から直接入ってくる食事による脂肪を代謝のため使います。それから肝臓は自身も脂肪を造ることも出来ます。

前置きが長くなりましたが、今回の本題である脂肪肝についてです。これはよく聞く診断ですが、その名のごとく肝臓に脂肪が溜まってしまうことを指します。上記にあるように肝臓は脂肪をたくさん利用するので、肝臓に脂肪があること事態は当たり前のことのように思えますね。しかし、脂肪もある程度以上溜まりますと、酸化などにより、肝細胞を傷つけます。通常、肝臓には脂肪が溜まり過ぎないように体がバランスをとるのですが、いろいろな理由でそのバランスが崩れることがあります。

簡単に考えますと、脂肪が溜まるということは、脂肪を吸収しすぎるか、脂肪を十分に代謝しきれないか、またはその両方が理由となります。実際、原因としてあげられるのは食べ過ぎです。よく言われるのは、フォアグラのように脂肪分の多いものを食べ続けますと、肝臓が代謝しきれないほどの脂肪を吸収して脂肪肝をつくります。その次によくみられるのが、アルコールの摂り過ぎです。アルコールは一種の油ですから、脂肪にもなりやすいです。その上、アルコールは肝臓の機能に影響をあたえるので、代謝も十分でなくなります。肥満と2型糖尿病も脂肪肝を発症させます。その理由はインスリンに対する抵抗力が脂肪代謝に障害を起こすからです。そのほか、妊娠、薬剤なども脂肪肝を起こすことがあります。

脂肪肝の症状はほとんどの場合、何もなく、健康診断や他の病気の検査などの時に診断されます。あえて症状といえば、肝炎などを伴う時は腹部右上のあたりの痛みが診られます。治療として大切なのは原因を把握し、それに対応することです。習慣で治せるものは、食べ過ぎ、飲み過ぎなどです。肥満も体質によるものが多いですが、体質に合わせた食事と運動でほとんどが改善されます。

他の場合もそうですが、特に糖尿病、妊娠による脂肪肝は専門医の指導の下で治療してください。脂肪肝は治ります。ただそれを長い間放置しておくと、肝臓にダメージを与え、肝炎、肝硬変に至る可能性がありますので、できるだけ早く治すように努力してください。それでは。

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プロフィール

Dr. Yutaka Niihara(新原豊), MD, MPH

1959年生まれ。東京都出身。
ロマ・リンダ大学宗教学科卒、同大学医学部卒。
ハーバード大学公衆衛生学修士卒。
Emmaus Life Sciences, Inc. President and CEO
UCLA 医学部教授(University of California, Los Angeles Harbor-UCLA Medical Center)

エマウス・メディカル・ジャパン株式会社

113-0033 東京都文京区本郷2-20-11 石飛ビル 1F TEL:03-6801-8250 / FAX:03-6801-6166
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