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Dr.新原の健康講座

2017年11月21日 火曜日 15:47

がん難民の話

がん難民の話日本では「がん難民」という言葉が使われるようになって、だいぶ経ちます。その定義は「医師による最初の治療方針の説明に不満を抱くか、納得できる治療方針を選べなかったがん患者」と言われていますが、一般的な方々が「がん難民」とう言葉を使う時、他にも様々な意味を持つようです。そんな中、それらの言葉を使う方々の持つ共通点は、日本でのがん治療に対する不満です。今回この課題を取り上げさせていただいた理由は、アメリカにお住まいの日本人の方々も、日本在住のご家族や友人の中に「がん難民」宣告をされている方々がいらっしゃるのではという思いからです。私自身よく相談を受けるのですが、読者の皆様も同じような相談を受けられる時、「がん難民」のことが少しでも理解していただければと、願いながら書いております。

自分が「がん難民」であると訴えておられる方々の話を聞いてみると、下記のような問題が見えてきます。閉鎖的医療、治療情報の不足、公開されない治療内容、一貫性がない治療法、緩和に対する意識の乏しさ、精神的なサポートの不足、「割り切り医療」などです。

日本の医師、そしてその他の医療関係者はとても優秀な方々が多く、人間としても素晴らしい人々であるという事を、私自身の経験から証言できます。しかし現在の医療システムは、患者やその家族の必要を満たすためには十分行き届いていないようです。例えば日本のがん患者の数は、アメリカの2分の1ですが、がん専門医の数はアメリカの10分の1もいません。アメリカのがん専門医はとても忙しく、患者さんを一日中診ているのに、計算すると日本のがん専門医はその5倍の患者数を診ないといけない事になり、考えただけでも大変さを感じられます。もちろんそのような患者の数は、がん専門医だけでは扱いきれないで、結局がん治療の訓練を特別に受けていない医師たちも治療に加わる事になり、治療の一貫性にも問題が出てくるのだと思います。

他にも問題点は多くあります。先進国であるはずの日本で、死亡率の一番高い疾患への対応が世界の標準に対し遅れをとっているのが残念です。 「がん難民」の方々のために、今何か出来るかというと、正直あまりありません。ただ、この問題がいかに重大であるかを認識し、何か日本の同胞のためにしてあげたいと願う人が一人でも増え、話し合い、考えあう事から、解決法も生まれてくるものと信じております。

2017年10月18日 水曜日 16:34

乳糖不耐症の話

ミルクやアイスクリームなどを食べるとお腹がゴロゴロと下痢気味になるので、乳製品はどうしても苦手と言われる方は少なくありませんね。これは英語ではLactose Intoleranceと呼ばれているコンディションのことを指すのですが、日本語では乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)と訳されています。乳製品を摂るとそのような状態になるため、乳製品を含んでいる食品や料理を食べることができず、病気ではないにしても、乳製品の多い欧米では食べ物を制限されてしまう困った症状だと言えるのではないでしょうか。

このような症状が出る原因は、ラクターゼという乳糖を分解する酵素が十分に分泌されないためです。ですから乳製品を摂ると消化不良が起こり、お腹にガスが溜まったり、下痢などの症状が出ます。子供は大抵の場合、ラクターゼが十分にあるのですが、成長に伴い乳製品の摂取が減るのに比例して、多くの人はラクターゼの分泌が減ります。乳製品を大人になっても大量に摂る欧米、特に北欧などを除きますと、大半の大人が乳性不耐症になっているか、その予備軍に入っているのが現状です。その中でも特に東洋系の人々は、90%以上が乳糖を十分に代謝できていないという統計が出ています。

無理をして乳製品を摂らなくても、私たちの栄養補給に問題はありません。しかし、最近の食事は日本でも欧米化されており、せっかく食べられる環境にあるのに食べられないのは残念なことです。また体が少し弱っている時などは、乳製品などを摂ると回復に役立つ場合もありますので、やはり少しは摂られる方が良いかもしれません。

それでは、乳糖不耐症の方はどのような食生活をするのが良いのでしょうか。特別な理由がなければ、上記に述べたように乳製品は摂らなくても、他の食品で十分健康を保つことはできます。実際、欧米では乳製品が必要以上に強調されているので、少々注意が必要でしょう。特に牛乳の宣伝は、強く印象に残るほど盛んにされていますが、牛乳が食生活に不可欠であるというデータはどこにもありません。ただカロリーが通常以上に必要とされる病気の時などを含む新陳代謝の激しい時などは、乳製品が効率よくカロリーやビタミンなどを吸収してくれるので重宝されています。

乳糖不耐症の方が乳製品を摂るには、いくつかの方法があります。まずは大体の食品別の乳糖の分量を知ることです。例えば、牛乳はコップ一杯で8gから11gの乳糖がありますが、同じ量のヨーグルトですと5g弱です。ですので、牛乳は苦手でもヨーグルトなら大丈夫な方も多いでしょう。その次にできることは、乳糖が既に分解されている乳製品を摂ることです。そして最後に、乳製品を摂る前に乳糖を分解するラクターゼを経口で摂取することです。そうすることにより、下痢などの症状は緩和されますので、一度お試しください。いろいろと工夫をして、楽しく健康的な食生活を送ることができますように。

2017年9月20日 水曜日 11:52

緑内障の話

この病名を聞いたことのある方は多いと思います。でも大抵の方は、それがどれほど頻繁に診断され、また大変な結果になる可能性のある病気かをご存知ないのではないでしょうか。

これは失明に至る最も大きな病気の一つです。日本では既に糖尿病による網膜症を超え、失明の一番の原因となっています。これを聞いて驚かれる方も多いと思いますが、なんと40歳以上の男女の17人に1人が、緑内障にかかっているという調査結果が出ています。

緑内障というのは、眼球の中の圧力が高くなりすぎ、眼の後ろの方にある視神経を支える血管が圧迫され血流が止まり、それによって視神経自体も圧迫され破壊されてしまう疾患です。房水(ぼうすい)という液体が眼の中にあり、それにより眼は形を保ち、また栄養素などを受け、その働きで支えられています。房水は血液のように常に循環していて、新鮮なものが眼球の中に運ばれ、古くなったものは外に出ていきます。そして房水は、眼の中の隅角という部分から排出されます。ですから、様々な理由で隅角が閉じたり狭くなったりしてしまうと、房水が排出されにくくなり、眼圧上昇につながります。

隅角が急激に詰まると、眼の痛みや頭痛が症状として現れます。その場合、適切な診断と治療が早急に必要となります。急性の隅角閉鎖ですと、眼圧が急激に上がることもしばしばで、発症から一日のうちに失明に至る場合もあります。そうなると手術などで急いで眼圧を下げる必要があります。

急性の場合とは逆に、多くの場合は自覚症状も少なく、定期的な眼の検査の時に眼圧が高くなっているのが初めて発見される場合がほとんどです。その他、患者さん自身、視野が狭まってきている事に気が付き、検査を受け発見されることもあります。どちらにしても、治療の目的は眼圧を正常値に戻し、失明を防ぐ事です。

最も簡単な治療法は、薬により房水の生産を少なくしたり、隅角の角度を緩め、房水を排出しやすくするという方法です。点眼用と内服用がありますが、使いやすさと早く効く可能性があるという事から、大抵は点眼薬が優先されます。しかしそれだけでは十分な効果が見られない事も多く、その場合は内服薬が併用されます。

薬による治療が効かなかったり、急性かつ重症のケースで一分一秒を争ったりする場合などは、手術が必要となります。レーザーによる手術が比較的簡単で、合併症なども少なく、よく使われています。しかし外科的手術がどうしても必要となる時もありますので、診断、治療法については、専門医の先生と十分に相談して下さい。眼圧の検査をする時、角膜が通常より固めの場合は、眼圧が高くなくても眼圧計が高い値を示すことがある事も覚えておいてください。

2017年8月23日 水曜日 14:02

骨粗鬆症の話

身体を支えてくれる骨格は大切ですね。骨格がしっかりしていないと、私たちは歩くどころか、立つこと、あるいは横になることすらまともに出来ませんね。当たり前のようですが、骨の健康も本当に有難いものです。骨はその頑丈さと弾性さをバランスよく保ち、活動的な体の動き、体制を可能にしてくれます。

骨がその頑丈さ、そして弾性さを失うに至る病気は色々ありますが、その中で代表的なのが骨粗鬆症です。皆様もよくご存知の通り、この疾患はお年寄りの女性に一番多く見られますが、男性にもまた比較的若い40代の方々に診断されることもしばしばです。しかし幸いと、現在はこの病気に対する理解が深まり、効果的な予防、そして治療が可能になっていますので、多くの方々が骨粗鬆症を回避できるようになりました。

今回のコラムはまず骨粗鬆症の原因について、そして予防、治療という段階でお話を進めたいと思います。まず原因ですが、もっとも影響があるのは女性の閉経にともなう、エストロゲン分泌の減少です。エストロゲンは骨の成長、維持にとても大切なホルモンですが、経口の薬や注射で補充すると乳がんの発生率を高めるので、現在では一般的には勧められていません。エストロゲン減少以外では、アルコール摂取、喫煙、体形、肉食などがあげられています。

アルコールは骨に必要な栄養素吸収の妨害をし、喫煙は骨の細胞に直接害となります。少ない運動量、痩せた体形も骨を弱くしてしまいます。動物性タンパク質は体から骨に欠かせないカルシウムを奪うので、過度の肉食は骨粗鬆症の原因となります。その他、人種なども関係があり、白人と黄色人種が比較的なりやすいです。もう一つ、治療のためステロイドや抗凝血薬のヘパリンなどを長期常用する場合、骨粗鬆症の発生率もとても高くなります。

診断にはX線や超音波を利用した検査が用いられます。初期ではあまり自覚症状はありませんが、上記のような危険因子をもたれる方は、定期的に検査をされるべきかどうかを主治医の先生と相談するようにお勧めいたします。少しでも骨に異常が疑われる方も相談してみてください。骨格に問題が出はじめたり、骨折などを起こさないうちに、診断そして治療を受けられることが理想的です。

治療としては、Fosamaxなどカルシウムを骨に引っぱっていく薬、そして弱いエストロゲンの働きを促すホルモン系の薬があります。薬の選択、使用法、副作用などに関しては、主治医と詳しく相談してください。Fosamaxなどは胃腸に影響がありますが、正しい摂取の仕方でその副作用はだいぶ改善できます。ホルモン系の薬に関しましては注意事項が多いので、特に主治医の先生とよく相談してください。

それではまた。

2017年6月21日 水曜日 13:37

外反母趾の話

外反母趾(がいはんぼし)、男性にはあまり馴染みのない言葉かもしれません。しかし、女性でしたらほとんどの場合、ご自身が経験されたか、身近な方がこの疾患で苦労されているのではないでしょうか。これはまさしく、現代の生活病と言ってよいでしょう。なぜなら、ハイヒールを履くことがなければ全くと言って良いほど起こらないからです。

言うまでもなく、ハイヒールを履いていると体重が不自然に足の先端にかかります。そうなると、足の指が靴のつま先の狭まった所に押し入れられた状態になり、指が足の中心に向けて付け根から曲がるように矯正されてしまいます。これが一番分かりやすい形で現れるは足の親指とその付け根です。ひどい時は、親指が付け根から90度位の角度で中指に向けて曲がってしまい、付け根は突き出し、こぶのようになってしまいます。本当に痛々しい姿です。

このような変形は足のつま先だけの問題ではなく、体全体の問題となりうることを強調しておきます。まず足ですが、つま先や指の付け根あたりに、まめや靴擦れが出来やすくなり、血行も芳しく悪くなります。糖尿病がある方はこれだけでも一大事です。潰瘍なども出来やすくなり、感染しやすくなります。外反母趾になりますと、足のアーチにも問題が出てくるので、裸足になっても履きやすい靴を履いても、体の体重を支えにくくなり、疲れやすくなります。そうなると知らず知らずのうちに運動不足にもなります。ご存知の通り、運動不足はあらゆる面で体に問題を引き起こす原因となります。

ハイヒールというのは、足と体の体勢を美しく飾りつけるために考え出されたのだと思いますが、その不自然な形は、皮肉にも足を醜く変形させてしまいやすく、体の健康のためにもあまりお勧めできるものではありません。もちろん今の時代、他の多くの文化的な習慣を避けることが出来ないのと同様、この履きにくい靴を使う習慣も廃止するのは不可能ですね。しかし、体に無理がかかり過ぎないくらいに状況を改善することは可能ですし、健康維持のためにもそう努力するべきでしょう。

一つの予防方法として、ハイヒールを履いている時間を出来るだけ減らしたいものです。例えば運転している時、近所へ買い物に行く時、正装をしていなくても良い時などです。少し手間はかかりますが、常に履きやすい靴を持って、ハイヒールを脱いでも良い時は履き替え、「ハイヒール時間」が出来るだけ少なくなれば上出来です。外反母趾も、軽いうちは簡単な矯正と、ハイヒールを避けることで治せます。ですが重症となってしまうと、手術が必要となる場合もあります。足が変形してきたなと少しでも思った時は一度、足専門医(Podiatrist)に相談してみてください。靴擦れ、痛みなどの合併症ですが、それらの緩和や予防のための製品も今はたくさん販売されていますので、最寄りの薬局などに問い合わせてみてください。それではまた。

2017年5月19日 金曜日 14:58

認知症の話

痴呆症という言葉の代わりに、認知症という言葉が頻繁に使われるようになってから大分経ちました。平均年齢が高くなるにつれて、認知症の診断を受ける患者さんの数も増え続けるばかりです。今回のコラムは介護する側の責任という面から書いてみることにしました。

 まず、認知症の原因は色々ありますが、年齢を増すにつれて物事を忘れやすくなったとか、精神的な病のため、理解力、判断力が低下している状態などは認知症の診断の枠には入りません。現在受け入れられている認知症診断の基準というのは、一度正常であった脳機能が、後天的な脳の障害のため異常に低下することを指します。具体的に述べますと、普通は忘れない日付が分からない(少なくとも月単位)、自分の家族または友人との関係を思い出せない(見覚えあるが自分とどういう関係なのかが思い出せない)、自分の居場所がよく居る場所であるにも関わらずわからないなどです。

 認知症は、一見普通に見えても言動が尋常でないという程度の状態から、自分の周りの現状を全く把握できていない寝たきりの状態のような深刻な病状まで含まれます。深刻であれば、それを見分けることは簡単かもしれませんが、初期のうちは周りが注意していないと分からないことが多いです。症状が初期の場合でも取り返しのつかない事故を起こしてしまったり、行方不明になってしまったりすることがありますので、できるだけ早いうちに診察を受けるべきです。診断はたいてい問診によって行われ、それほど難しくはありません。臨床心理士、神経科医、精神科医などが専門的にされています。前記のような症状が見られましたら、とりあえず主治医に相談して下さい。早期診断のもう一つの大切な点は、治療可能な原因をより敏速に見つけることです。それにより認知症が改善するべき原因によるものでしたら、回復の確率が高くなります。例を挙げますと甲状腺機能低下症などです。

 介護する側の役割と責任はとても大きいです。ここで大切なのは、介護する側も自分の能力をよく知っておくことです。介護は多くの場合長期になりますので、はじめのうちに頑張り過ぎて、介護側が燃え尽き症候群などにならないように注意しなければなりません。これは笑い話のようですが、今や深刻な問題です。それではどうしたらよいのでしょうか?まず、介護を手助けするサービスや施設の資料を集めることです。ソーシャルワーカーにも、できるだけ早期に相談することです。介護を自分の家で続けるか、施設にお願いするかは、家族でよく相談しなければなりません。家で介護を続けることは患者さんにとって喜ばれる事ですが、それはそれを出来る家族メンバーが揃っていて、必要な医療器具なども使いこなせる場合です。時には施設の方が、家族にも患者さんにも良いということを忘れないで下さい。訪問看護システムや入院施設は、いくつか訪ねて納得できるところを選んで下さい。そして、多くのサポートシステムがあることも覚えておいて下さい。

2017年4月17日 月曜日 13:35

ビタミンB12欠乏症の話

ビタミンB12欠乏症と言ってもあまりピンとこない方も多いと思います。ビタミンはどれも大切ですが、このビタミンが足りなくなりますと、体の多くの機能にはっきりとその影響が見られます。このビタミンを欠乏する原因は様々で、多くの方がこの疾患で苦しまれております。今は原因がはっきりしているので治療も簡単ですが、原因の分かっていなかった1900年代の初め頃、この病気のために多くの方が亡くなりました。現在でも、ものすごく治療が簡単な病気であるのですが、診断をしっかりしないと命に関わる病気となります。

まずどのような症状が出るのでしょうか?皆さんもよくご存知の、脚気が典型的な症状の一つです。脚気というのは、反射神経が鈍る時に起こる症状です。ですので、もちろんいつもより歩きにくくなったり、走れなくなります。それ以外によく知られている神経にかかわる症状としては、足が反動などに対しての感覚が鈍ること、そしてひどくなりますと痴呆症、意識不明に至る場合もあります。

それ以外によく知られている検査結果は貧血です。貧血でも数字的にはひどいもので正常の3分の1しか血の値がないこともしばしばです。当然のことそれほどの貧血がありますと体がとてもだるく、弱く感じられます。しかし時にビタミンB12はとても足りないのに、貧血のない場合もあります。それは別のビタミンが貧血の方をカバーしてしまうからです。でもそういう時も神経関係の症状は出て、ある時は、貧血がある時よりも神経の症状が多く出るということもよくあります。

この疾患の原因として、第一にあげられるのが悪性貧血です。これは自己免疫症の一つなのですがその名の通り、昔は白血病のように恐れられていた病気です。今はビタミンを定期的に注射をするだけでも、何も問題のない病気なのですが、ビタミンB12の代謝が発見されるまでは、ほとんど確実に命を落とすと思われていたコンディションでした。私達の胃にはこのビタミンを吸収するための特別な因子を分泌する作用があるのですが、悪性貧血になりますとこの因子が分泌されなくなるため、体もこのビタミンを摂れなくなってしまいます。

もちろん、胃を摘出された方も同じような状態になります。ですので、そのような手術をされた方は必ず定期的に血中のビタミンB12の値を調べていただいて、欠乏する前に治療を受けてください。そのほか、寄生虫によるもの、胃腸にバクテリアが必要以上に繁殖されてしまう場合などが、ビタミン吸収を妨げるものとして認められています。それから、ビタミンB12は動物性の食物にあるビタミンですので、極度のベジタリアンの方々はビタミン剤をサプリメントとして摂ることをお勧めいたします。牛乳や卵はビタミンB12を豊富に含んでいるので、それらを摂られていれば食習慣のため欠乏することはまずないでしょう。

それでは、またこの次までバランスの良い生活を。

2017年3月22日 水曜日 12:05

塩分の話

塩分の摂りすぎは身体にあまりよくないと、物心がついた頃から聞いてきたような気がします。でも塩は、私たちの生活には欠かせないもので、その昔、塩の取り合いで戦争を起こした国々もあるとのことです。塩は味付け、食物保存に大切なだけでなく、適度な量は私たちの体が正しく機能するためには、絶対に必要な成分なのです。ですので、あまり悪者扱いしたくはありませんが、摂りすぎは不足と同じくらい、私たちの体に問題を起こします。

塩分の摂りすぎが原因となる疾患で、まず挙げられるのが高血圧です。塩分は血管内の水分を増やし、血圧を高くし、血管や心臓に負担をかけ、脳梗塞、脳出血、心臓発作、心不全、腎臓病などにも繋がります。それからあまり知られていない分野では、がんの発生率の上昇と塩分の摂りすぎです。つまり、塩分の摂りすぎが私たちの死因の一位と二位を占める、がんと循環器関係の病気に関係しているのです。こういう言い方をすると、少し塩分摂取量制限の大切さを考えていただけるでしょうか。

前述の通り、塩分は摂らなければいけません。しかし、先進国の典型的なメニューには、西洋でも東洋でも、塩分が本当に多く含まれています。私たちの一日の理想的な摂取量は、6gから8gなのですが、それだけに抑えるには工夫が必要です。特に外食が多い方々は、よく注意しなければなりません。例えば、やまかけそばは一杯で、一日分である6gの食塩が含まれています。それから、加工食には食塩が多めです。ちょっとでもしょっぱいと思える食べ物は、一口でも多量の塩分を含んでいます。

塩分摂取量対策の一つとして提案したいのは、食物に含まれている塩分量をリストした表に目を通すことです。そして一食でも塩分の多めの物を食べた日は、残りの食事はできるだけ塩分を控えたものを選んでください。外食は週に一度か二度に抑えられれば理想的です。レストランなどにはテーブルに塩、胡椒、醬油などがよく置いてありますが、食べ物の味が相当薄くない限り、それらを使うのを避けていただきたいです。ちなみに醤油ですが、それは小さなスプーン一杯で、5gもの塩分を含んでいます。心臓病や高血圧を患っていらっしゃる方々は、ナトリウムの代わりにカリウムを含むお醤油などを使うことをお勧めいたします。

最後に塩味ですが、塩味を濃くすればするほどそれに慣れて、もっと塩辛い味を舌が求めますが、反対に一週間くらい極力塩分の少ない食事を続けると、舌が塩味にとても敏感になり、薄味でも十分に満足できるようになります。一度試してみませんか?それでは。

2017年2月14日 火曜日 11:27

リュウマチの話

リュウマチと言いますと、一般的には自己免疫症による関節炎のことを指します。この病気の原因はまだはっきりと解明されてはいませんが、一部では関節に進入した感染に対する過剰な免疫反応によるものだと言われています。しかし、それらの免疫反応は感染だけとは限らないようです。どちらにしろ、その過剰免疫反応が骨と骨をつなぐ関節を炎症させ、ひどい場合にはその部分を一部破壊してしまうこともあり、そのせいで関節が変形されることもしばしばです。

 症状としては関節部分の腫れ、そしてそれに伴う熱と痛みがあります。病気が進みますと、関節、その中でも特に手指の関節の変形がみられ、手足の機能がとても低下します。腕や足の節々も影響され、ひどい時にはほとんど自分では日常の生活を営む事が出来ず、簡単な作業をするのにも、周りの助けが必要になります。もう一つの症状ですが、朝起きた時、手がこわばり、普通に使えるようになるまでに少し時間がかかることがよく見られます。

 リュウマチにかかる年齢は、若い方からお年寄りまで様々ですが、年齢が高くなるにつれて、かかる確率も高くなります。

 治療でまず大切なのは、無理をしないことです。関節が腫れて痛む時は体全体を休め、炎症している関節は動かさないことです。腫れている関節を冷やすこと、温めることを交互にすることにより炎症を抑え、血行を良くすることも、ある程度効果があります。もちろん、抗炎症剤もとても大切です。主治医の説明を受け上手に非ステロイド系抗炎症剤を使っていくことは、関節の破壊を防ぎます。

 症状がひどくなりますと、ステロイドに頼る場合もあります。ステロイドというのは、とても強い抗炎症剤なのですが、長期利用するにあたり副作用も強く、結果的には長期使用では、骨、皮膚をはじめ他の体の部分が悪くなってしまうことが多いので、必要とされた場合は主治医とよく相談しながらお使い下さい、できることならばステロイドは短期使用にとどめておきたいものです。

 近年、とても強力な薬が開発されました。これは抗TNF剤というものですが、とてもひどいケースに使われます。以前は何をしても変形した関節などを元に戻すことは難しかったのですが、この薬の出現によりそれも可能になってきました。しかしこの薬は免疫力をとても低下させてしまうため、感染や癌などにとてもかかりやすくなります。ですので今は生命に関わるようなひどいケースのリュウマチに限られて使われているのが現状です。

2017年1月16日 月曜日 16:25

長寿の話

心身ともに健康で、長生きできれば素晴らしいですね。最近では100歳の誕生日を迎えられた方々のお話をよく聞きます。近代の記録では、最高120歳代まで長生きされた方々が数名いらっしゃるようですね。科学的にも人の細胞は120歳ぐらいまでの寿命を支えられると裏付けられています。細胞の中には回数券のようなものがあり、その回数券の数だけ細胞は分裂し、新しく生まれ変わることが出来るのだそうですが、それが終わるともう細胞も再生されなくなり、それ以上は生命も保てなくなるのです。ただ、そんな中でも生殖体はまた別でして、それは新しい命を創り、その生命はまた全く新しい何度も分裂できる細胞を持って生まれてきます。本当に不思議な話です。

生きているということ自体が本当に神秘なのですが、どのような生き方が私たちの限られた時間を少しでも健康に延ばしていけるか、現代医学である程度わかってきたようです。まず大切なのは食事です。私たちが食べるものが新しい細胞となります。ですので、口から入っていくものが私たちの細胞が強くなるか、弱くなるかを大きく左右します。世界で長寿国の多い地域を見てみますと、野菜・果物・穀類・そしてナッツを中心とした食事が体に合っているらしいというデータが出ています。その他、海藻類もとてもよろしいようです。穀類も大切ですが、出来るだけ脱穀されていないものが栄養素も多く望ましいです。これらの方々は、肉類を多く摂る方々と比べ、平均寿命は3年から7年長いという研究結果も出ています。

野菜や穀類でもアレルギーはありますので、その場合よく注意しながら召し上がって下さい。なられた方々ならご存知だと思うのですが、蕎麦アレルギーや小麦タンパク質のグルテンに対する拒否反応などは、とても深刻な問題になりかねません。

食事と同じぐらい大切なのは生活習慣で、適度な運動、十分な睡眠、禁煙と一般的にもよく知られているものが挙げられます。お酒に関しては、少量に抑えられるのなら、薬程度にお勧めする意見もあります。しかし大抵は少量で抑えきれず、肉体的に精神的に、そして社会的に問題になる場合が多いので、私としてはあまりお勧めできません。

そして、あまり重要視されていないようで、もしかしたら一番大切なのが平安な心です。そのような方々は、常に体を癒やすエンドルフィンが出ているようで、病気になり難いだけでなく、そうなってしまった時も治りやすいようです。私たちの食事、生活習慣にも影響される心の平安ですが、信心深く、感謝の念を持たれる方々は「平安度」が高いようです。ありふれたような事柄を並べました。しかしこれらは私たちの健康、長寿には欠かせないものです。そして、それらを実行されてきた方々を調べた研究の結果は、学会でも認められています。皆様も健康な生き方に挑戦されてみませんか。ただ生活習慣を変えようとされる場合、それは急にではなく、徐々にされますようお願いいたします。それではまた。

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プロフィール

Dr. Yutaka Niihara(新原豊), MD, MPH

1959年生まれ。東京都出身。
ロマ・リンダ大学宗教学科卒、同大学医学部卒。
ハーバード大学公衆衛生学修士卒。
Emmaus Life Sciences, Inc. President and CEO
UCLA 医学部教授(University of California, Los Angeles Harbor-UCLA Medical Center)

エマウス・メディカル・ジャパン株式会社

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