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Dr.新原の健康講座

2018年11月20日 火曜日 13:44

脂肪肝の話

肝臓は、万能生理化学工場と言いたくなるぐらい、体が必要とするたくさんの成分を造り、あるいは蓄積し、必要に応じてそれらを体中に送り出してくれます。脂肪もわたしたちが健康であるためには大切な成分です。脂肪は代謝により、酵素、ホルモン、そしてエネルギーなどに変えられますが、それらの成分はどれをとっても分量が多すぎても、少なすぎても体には負担となります。ですので、必要とされるまでは、脂肪細胞の中で出番を待っています。脂肪は脂肪細胞の中ではかなりの量になるまでは体には負担となりません。

その脂肪を吸収し代謝するのが肝臓です。肝臓は脂肪細胞から送られてくる血中の中性脂肪と小腸から直接入ってくる食事による脂肪を代謝のため使います。それから肝臓は自身も脂肪を造ることも出来ます。

前置きが長くなりましたが、今回の本題である脂肪肝についてです。これはよく聞く診断ですが、その名のごとく肝臓に脂肪が溜まってしまうことを指します。上記にあるように肝臓は脂肪をたくさん利用するので、肝臓に脂肪があること事態は当たり前のことのように思えますね。しかし、脂肪もある程度以上溜まりますと、酸化などにより、肝細胞を傷つけます。通常、肝臓には脂肪が溜まり過ぎないように体がバランスをとるのですが、いろいろな理由でそのバランスが崩れることがあります。

簡単に考えますと、脂肪が溜まるということは、脂肪を吸収しすぎるか、脂肪を十分に代謝しきれないか、またはその両方が理由となります。実際、原因としてあげられるのは食べ過ぎです。よく言われるのは、フォアグラのように脂肪分の多いものを食べ続けますと、肝臓が代謝しきれないほどの脂肪を吸収して脂肪肝をつくります。その次によくみられるのが、アルコールの摂り過ぎです。アルコールは一種の油ですから、脂肪にもなりやすいです。その上、アルコールは肝臓の機能に影響をあたえるので、代謝も十分でなくなります。肥満と2型糖尿病も脂肪肝を発症させます。その理由はインスリンに対する抵抗力が脂肪代謝に障害を起こすからです。そのほか、妊娠、薬剤なども脂肪肝を起こすことがあります。

脂肪肝の症状はほとんどの場合、何もなく、健康診断や他の病気の検査などの時に診断されます。あえて症状といえば、肝炎などを伴う時は腹部右上のあたりの痛みが診られます。治療として大切なのは原因を把握し、それに対応することです。習慣で治せるものは、食べ過ぎ、飲み過ぎなどです。肥満も体質によるものが多いですが、体質に合わせた食事と運動でほとんどが改善されます。

他の場合もそうですが、特に糖尿病、妊娠による脂肪肝は専門医の指導の下で治療してください。脂肪肝は治ります。ただそれを長い間放置しておくと、肝臓にダメージを与え、肝炎、肝硬変に至る可能性がありますので、できるだけ早く治すように努力してください。それでは。

2018年10月19日 金曜日 09:37

高血圧の話

誰でも身近な人、またはご自身が高血圧の診断を下された事があると思います。しかし、頻繁に聞く診断ですので、結構真剣に取られない事も多い病名です。皆様を心配させるつもりはもちろん毛頭もありませんが、今日はこの疾患についてその破壊力の潜在性を少しでも理解していただいて、それに積極的に対処していただきたいと願いつつ、このコラムを書いております。

まずはその破壊力ですが、高血圧は次のような病気の原因となります。脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、狭心症、腎臓不全、動脈瘤、その他数多くの生死に、または生活の豊かさに大きく影響を及ぼす病気のもとです。

いったい何が高血圧をもたらすのでしょうか?色々な理由と原因がありますが、たいていの場合は体のどこかに十分に血液が流れていない事を体自体が察し、それに対処しようとしているのです。ですから運動しているときなどは体の必要に合わせて健康的に運動中だけ適度に血圧も上がります。

しかし運動していないときでも血圧が上がるようになるのは、血管に異常が生じて血液が流れにくくなるときなどです。このような状態が非常に危険です。

血管や血液に異常をもたらす環境は、自分で毎日体内にせっせと造っていることが多いのをご存じですか。脂肪の多い食事をされた後に採血をしますと、血中に吸収された脂肪分を目の当たりにする事が出来ます。普通は赤色ですが水のようにさらさらと流れる血も、脂肪分を沢山含みますとピンク色になり、ドロドロとするのが良く分かります。無論、誰でもたまに天ぷらとか、油身の多いステーキなどを食べられる事もあると思います。私たちの体はそれなりに良く出来ていまして、それらのドロドロとした脂肪もテキパキと代謝して、体にある程度必要な善玉コレステロールや体脂肪に変えてくれます。ただ運動もあまりせずに、いつもそのような食事ばかりしていると、脂肪分が十分に代謝しきれず、それが「悪玉」と言われるコレステロールとして溜まっていってしまいます。脂肪の多い食事の後のドロドロとした血や悪玉コレステロールは、長い間血中にありますと血管の内皮をとても傷めます。そうしますと余計に血液の循環が悪くなり、高血圧や心筋梗塞、又脳梗塞などになりやすくなります。

言うまでもなく、タバコも血圧にはよくありません。タバコは血管をまず必要以上に収縮させ、血小板を異常活性させ、血をベタベタにさせ、その上に血管を直接傷めます。他にも害の非常に多いタバコですが、血圧にもとても悪いです。

当たり前ですが、上記の問題は生活習慣を変えることでほとんど改善できます。野菜、果物、ナッツを中心とした食事を摂り、タバコを控え、適度のお酒の生活、それに日々適度の運動(あまりストレスのかからないもの)を加えた生活習慣を実行する事ができれば、大半の高血圧は「高潔明日」に変わります。それでは次回まで健康的な生活をお送りください。

 

2018年9月21日 金曜日 09:48

燃え尽き症候群の話

今でも食事も忘れて熱中していたような仕事やほかのさまざまな活動に対し、急に意欲をなくし目標を失うような経験をしたことはないでしょうか。これは鬱に似ている部分もありますが少し特徴があり、熱中していたことに対し、急に理由も分からずにやる気を失ってしまうところに焦点が置かれています。ウィキペディアの言葉を借りますと、燃え尽き症候群とは「一つのことに没頭していた人が慢性的に絶え間ないストレスが持続すると、意欲をなくし、社会的に機能しなくなってしまう症状」と言われています。

多くの場合は、周りに対する責任の多い職についている方が燃え尽き症候群になりやすいようです。たとえば、会社の管理職、看護師や他の医療関係の職、教職、消防士や警官などの市民を守る職、といった方々です。その他にも、管理職でなくとも会社に対する責任感の強い社員などもなりやすいようです。それからもう一つ典型的なのは、オリンピック選手のように、ある大きな目標うぃもって人生のすべてをかけてきた人々が、目的を達成してしまった後に起こるケースです。

なぜ上記に触れたような方々がこの症候群を発症しやすいかは大体の想像がつくと思います。少し強い言い方をしますと、大抵の場合、生活のバランスを崩して活動を続けてきたために人生の視野が狭くなり、可能性はまだまだ無限にあることが見えなくなってしまうのが大きな理由です。休みなしに体を動かせば故障をきたすように、精神も休みなしに一つのことばかりに集中していれば、バランスを失ってしまいます。

燃え尽き症候群は、以前お話しした過労のように肉体的に体が疲れすぎて倒れるというのではなく、精神的に倒れてしまうことなのです。ある意味で、これは精神上の過労です。

この疾患の症状に気がついたら、早いうちにカウンセラーや主治医に相談してください。そして、出来れば原因となっている仕事や活動から少し離れ、自分が今までしたかったけれど気持ちや時間に余裕がなかったためできなかった趣味とか、自分の大切な人々とのんびり過ごすような時間をとることをお勧めいたします。

まだ症状は出ていないけれども、自分もいつかは燃え尽き症候群になるのではと思えるような生活をしている方は今から手を打つことです。仕事に集中し、一生懸命頑張るということは決して悪いことではありません。ただ、それを続けるにあたり、自分に精神的な余裕を与えることを忘れてはいけません。できることなら、週に一日は仕事を忘れて何かに取り組んだり、また自分の大切な人と余裕のある時を過ごしたりすることです。そうすることにより、また新しい意欲が湧き出てくることでしょう。人生には、今熱中していることと同じか、それ以上に大切なことがあることを思い出してください。

2018年7月20日 金曜日 09:43

貧血の話

よく感じるのですが、漢字を取り入れた日本語は、読む人にとても優しい言葉だと感じます。この貧血という単語も医学を知らずとも、字を見ればどのような状態を示すのか、なんとなく伝わってきます。ところでこの貧血、とても種類が多いのです。この紙面ですべてカバーすることは出来ませんが、今日も簡単にですが主要な種類についてお話させていただき、どのような症状に特に注意すべきかを考えてみましょう。

私たちの細胞ひとつひとつは、血液の循環によって支えられています。それは酸素や栄養素の運搬、供給、そして排出物の排除、さらに免疫、止血などに関わっており、組織や臓器が正常に働くためには欠かせないものです。血液は大きく分けて、赤血球、白血球、血小板、そして血漿からできています。医学的に貧血と言いますと、血液の赤血球の部分が低下することを指します。

貧血でまず代表的なのは、鉄分欠乏症貧血で、これは特に子供、女性に多く見られます。赤血球が機能するためには鉄分が必要とされるのですが、急激な成長や慢性の出血などにより、体内の鉄分が足りなくなります。そうなりますと赤血球が製造されにくくなり、貧血が起こります。治療は鉄分を摂取する事で大抵の場合良くなるのですが、何が理由で鉄分が減ったかを追求する必要があります。胃炎や胃腸の腫瘍が、慢性出血の原因になっているかどうかを調べる必要が出てくる場合も多いです。ビタミンB12、また葉酸の欠乏による貧血もよく聞かれる種類のひとつです。大切なのは、ビタミンを含めたバランスの良い栄養を摂り続けることです。しかし悪性貧血という名の貧血になってしまいますと、ビタミンB12を吸収するのが難しくなります。その場合、注射による供給が必要となります。胃の摘出手術をされた方なども、ビタミンB12は吸収しにくくなっておりますので、主治医の先生に、数ヶ月に一度は必ず血液の状態を診ていただき、必要であれば注射による治療を受けて下さい。

この他貧血の種類は、腎不全によるもの、慢性的な炎症によるもの、甲状腺の異常によるもの、大量の出血によるもの、そして白血病をはじめとするあらゆる骨髄の病気によるものがあります。正しい検査によって、それらの診断は可能です。

目まい、息切れ、動悸、慢性的な体のだるさなどは、貧血の症状でもあります。それらの症状が出ましたら、出来るだけ早く検査をされます事をお勧めいたします。万が一、それらの症状が急にひどくなった場合は、救急車を呼ぶことを考えて下さい。輸血がすぐに必要となる場合もありますが、命には代えられません。それではまた。

2018年5月18日 金曜日 13:42

レーシックの話

レーシックの手術を受けられる方の数が多くなってきましたね。近視で眼鏡やコンタクトが必要だった方々が手術を受けたその日から、肉眼での視力が正常、またはそれに近くなるとは奇跡の治療にも思えます。最近はラジオや雑誌で頻繁に宣伝されていますし、宣伝の中の患者さんの証言や、お医者さんのされた手術の回数などを聞きますと、少しお金がかかることの他は、何の損もない得ばかりの魅力的な投資とも思えるかもしれません。確かに素晴らしい要素の多いレーシックなのですが、やはり手術である限り、合併症、思わしくない術後の経験、レーシックを受けてはいけない要因などを心得ておかなければなりません。

そこで今回はレーシックとはどのような手術なのか、そしてどのような点を注意しなければいけないかをお話してみます。

まず、レーシックの手術の説明です。近視、遠視、そして乱視は光を屈折する角膜の曲率に影響されて起こります。そしてレーシックというのは、レーザーでこの角膜を削りながら、曲率を操作する手術です。例えば近視ですと、この曲率が上がりすぎているので、角膜の中央を削り平らにすることにより、視力を矯正します。どちらにしろレーザーを使い角膜を削ることを要するので、何度も受けられる手術ではありません。そして角膜の薄い方は、削る部分が十分にないため、受けることができません。まだ角膜が成長している18歳未満の子供も受けてはいけません。

この手術のもう一つの大切な部分は、レーザーを使う前に角膜の表面を薄くはがし、フラップを作る過程です。最後にこのフラップは削られた角膜の上に戻されます。そしてこのフラップを元の位置に戻すことがとても大切で、ずれたりしますと視力に大きな影響があります。

次にレーシックによる結果ですが、視力はコンタクトや眼鏡で矯正された以上にはなりません。そして、どうしても色の差、光と影のコントラストへの感覚が薄くなり、夕方など視力が下がり気味です。角膜が薄くなるため、天候などの変化でも視力が変動しやすくなります。まぶしさも術前と比べると強く感じられるようになり、外ではサングラスが必需品となる場合も多いです。ドライアイも術後よくうったえられます。最後に、矯正の度が過ぎますと、近視の治療の結果、遠視になってしまったなどの問題も出てきます。

このほかにもレーシックによる問題は多くあります。ですけれども幸いと大半の方々は、結果に満足されているようです。少しぐらいの合併症も、肉眼で生活できることと比べると、十分価値のあるものとして受け入れられているようです。しかしこの「すばらしい」レーシックも、受けるべきかどうか思考中の方は、注意するべきことをわきまえた上で、手術を受けるかどうかをよく専門医と相談した上で、判断をくだされるようお勧めいたします。

2018年4月19日 木曜日 11:00

疲労骨折の話

「疲労骨折による故障が理由で、運動選手が休暇を必要とする」などと時々聞きます。この骨折はストレス骨折とも言われています。ある何かの出来事のために起きる一般的な骨折とは違い、特徴として骨の一部に運動などで繰り返し負担をかけるため、少しずつ骨が壊れるものです。症状は、他の骨折と同じで痛みがありますが、多くの場合症状が出る頃には、レントゲンに写るほどのひびが入っています。骨折の起こりやすい部分は、体の重みのかかる腰の辺り、足の膝から足首にかけて、そして足の指の付け根よりやや下の辺りです。

この疾患の難しいところは、症状があまりはっきりと現れないことです。足の骨が影響している場合、少し歩くぐらいではそれほど痛みを感じないこともしばしばです。しかし、走り出したりすると徐々に痛みがひどくなり、走り終わった時に最もひどい痛みが始まると言われています。このような痛みを感じるようになったら、運動選手などは一刻も早く診察を受け、治療に専念すべきです。疲労骨折の初期は治りやすく、合併症もほとんどありませんが、それを放っておくなどして痛みを我慢し無理を続けると、選手生命が危うくなる恐れがあります。言うまでもありませんが、これは運動選手だけに限ったことではありません。外での仕事が多い方、体の一箇所に連続的に負担がかかるなどの力仕事の方、健康のためにジョギングや散歩を定期的に行っている方など、それぞれが疲労骨折を心得ておくべきでしょう。

治療として大切なのは、骨折している骨に対する負担をとりあえず減らすことです。時にはギブスなど骨を固定させることが必要となる場合もあります。足に骨折がある場合、できるだけ足の痛みを和らげられる靴を選ぶことが大切です。靴が足の骨折の負担を補ってくれる良いものであれば、軽症の疲労骨折なら大抵の場合、軽く歩いたりするのは可能です。

とにかく重要なのは、痛みを感じるような状態になったらそれを無視せず、痛みの原因をきちんと調べることです。もし上記のような痛みがある場合は、主治医の診察を受け、レントゲン写真を撮ってもらってください。時には骨折が見つかりにくく、特殊な検査が必要となる場合もあります。痛みを無視したために骨折が進むと、手術を要することもあるので気をつけてください。合併症が起きると他の疾患と同じように、事態をより深刻にしてしまいます。

予防としては、これは逆説にも聞こえますが、疲労骨折を起こしやすい骨に適度のストレスを繰り返しかけることです。そうすることにより骨が強くなります。骨を支える筋肉をつくるための運動も大切です。それではまた。

2018年3月19日 月曜日 10:21

時差ボケの話

何事をするにも世界を視野に入れて多くの方々が動いているように感じられます。仕事、休暇等の移動も毎年、平均距離が長くなり、旅行期間が短くなり、頻度が増え続けているのではないでしょうか。

時差ボケが起こるのは私達体内に時計が有るからです。この体内時計が寝起などに必要なホルモンの分泌される時間をコントロールしてくれ、そのおかげで私達の生活のサイクルが作られています。面白い事にこの時計の一日は実際の一日の時間数の24時間より一時間長く25時間です。しかし毎日私達の生活習慣のおかげで1時間リセットされています。この一時間違いが意外に大切で、時差のある所に移ったり、生活習慣のスケジュールを仕事の都合で変えないといけない時にそれに対応しやすくしているようです。どう言う事かといいますと、世界で一番時差のある場所でも比例差は12時間です。つまりどんな遠くへ移ったとしても約12日で体内時計は新しい土地の時間に慣れると言う事です。又一時間長いため、東から西に動く方がその逆よりも比例時間が遅くなるので負担が少ないようです。

時差のある場所に移った時、まず大切なのは日のあたる時間に軽い運動をする事です。昼寝も良いですが部屋はあまり暗くせず休まれ、少し疲れが取れたら思い切って外に出て日に当たってください。太陽の光は体内時計のリセットにとても大切であることが分かっています。西から東へ移り、夜寝つけない時は少量の睡眠薬を処方して頂くのも一つの方法です。反対に東から西へ移ると朝が早くなります。この時は睡眠薬はお勧めできません。それよりも朝の早い時間を工夫して使うことが良いと思います。朝2時ごろから起きていても、たいていの場合日中は問題なく生活できるはずです。どちらにしても疲れを感じるとき、休みを上手く取るようにすることと日中に適当な運動することを覚えてください。お酒タバコを控えられ食事も軽くバランスよくお取りください。

地球の裏まで何日もかけて移動するなら、体内時計が目的地に着くまでに丁度良く調整されるのですが、最近では動くスピードが早くなり、一日一時間ぐらいの修正ではとてもついていけないものです。そんな社会になった今、それについていくために工夫しないといけません。時差ボケとは言え、そのために事故が起きたり、大切な決断の判断を間違えたり、心臓などの臓器に負担がかかるなどきちんと対応を考えないといけない現象です。

それでは又この次まで。体内時計も大切にしてあげてください。

2018年2月19日 月曜日 10:04

血尿の話

尿の色がおかしいなと思ったことはありませんでしょうか。尿の色は、透明からやや黄色がかったものが正常ですが、赤っぽかったり、コカ・コーラのように黒っぽかったり、時には茶色くなる場合もあります。当たり前のように見ている尿ですが、尿の色、中身を調べることにより健康状態がわかります。というわけで、今回は尿の病的変化の一つである、血尿についてお話してみましょう。

血尿というと、どうしても赤く染まった尿を想像してしまいますが、実はその大半は肉眼では見えない、少量の血を含んだものです。そうとは言え、肉眼で見えるものも少なくありません。そして、非肉眼的なものを合わせると、その頻度は私たちが考えている以上の数字です。ウィキペディアによりますと、「健康診断による潜血陽性率は大学生で4~5%、40代は男6%女10%、60代は男11%女24%、80代以上は男17%女29%である」というデータが表示されています。

原因としては様々な疾患が考えられますが、膀胱炎の占める比率はとても高いです。膀胱炎になりますと、炎症のため膀胱の粘膜から血が滲み出やすくなるからです。大抵の場合は非肉眼的ですが、尿の色がやけに濃くなったように見える場合もあります。そのほかに原因として考えられるのは、その他の尿路の疾患です。尿路というのは、腎臓、尿管、膀胱、尿道をひっくるめた体の部分を指し、いわゆる尿が作られてから、体の外に出るまでの道筋です。そこに起こる疾患には、腎臓結石、尿路の癌、腎臓系球体の炎症、嚢胞性腎疾患などがあります。

尿路以外でも血尿の原因は発生します。血液の赤血球は腎臓を通過できませんが、赤血球が血管内で壊れてしまったとき、その中身のヘモグロビンが腎臓経由で尿に混ざります。この現象を血管内溶血と言いますが、それは赤血球の異常、人工心臓弁によりあるいは長距離の徒歩やマラソンなどで起こります。ヘモグロビンが多量に混ざると、尿の色が前述のように、コカ・コーラのような色になります。家族性血尿という原因もありますが、この場合は遺伝的なもので、特別検査したり、治療を要する疾患はありません。

以前書かせていただきましたバイタルサインに引き続き、尿の変化は比較的見つけやすいものです。そして、それが体に起こり始めた病気を示すものである可能性があります。一時的な良性のものもありますが、検査をすることにより、原因の芽を取り去り、大きな事態にならずに済むことも多いです。

非肉眼的な尿の変化は、自分では見つけられません。しかし健診などでの尿検査のような、簡単なテストでもそれを分析することができ、とても多くの体に関する情報を与えてくれます。こう考えると、尿が出るというのは有難いことですね。少なくとも体の毒素を排出してくれ、その上、体の健康状態の目安としても役立ってくれます。

2018年1月19日 金曜日 11:07

輸血の話

献血をされた事があるでしょうか?多くの方の献血のお陰で、毎日たくさんの命が助けられています。私たち医療に関わっているものは、献血のお陰で命拾いしている方々を当たり前のように見ておりますが、そうできるのも自分の血液を見ず知らずの患者さんたちのために喜んで提供してくださる方々のお陰です。

献血に関する知識、それによる安全性はどんどん向上していて、それは献血をされるボランティアの選択から始まります。その昔献血を促すため、献血をされる方々にお礼金を差し上げていたこともありました。皆様もご存知だと思いますが、そうすると献血者としてあまり好ましくない人々を呼び込んでしまうので、そのようなやり方は数十年前に廃止されました。

今は献血をするにも、とても込み入ったアンケートに答え、患者さんが献血をするだけの体力があるか、また肝炎などにかかる危険因子があるかなどを調べます。それらの審査は結構難しく、アンケートだけでも多くの候補者が献血を許されないほどです。以前、狂牛病がヨーロッパで見つかり話題になったことがありますが、その頃はヨーロッパに最近数年以内の間に住んだことがあるというだけで、アメリカでは献血者として受け入れられない状態でした。せっかく人助けをしたいという方々がたくさん門前払いされているようで心苦しいですが、それほど輸血される血液は厳しく選ばれます。

アンケートで合格しますと採決をしますが、そこで今度は血液の一部が検査に送られ、数十目の分野において調べられます。特に厳しく検査されるのは、A・B・C型肝炎、HIVです。

まだ完全ではありませんが、お陰で最近では輸血によるそれらの感染率は1/100,000以下と言われています。一生の間、100,000回輸血を受けても、感染する可能性はほとんどないという計算です。血清などの輸血に関しては、検査された血液をさらに洗浄するため、感染する確率はほとんどないと言っていいほどです。

輸血を受ける時は大抵、命に関わる危険がある時です。以前はやや危険を伴っても、生きるチャンスを得るために輸血はされてきました。しかし、最近の輸血はとても安全になりました。万が一、ご自身や身近な人が輸血が必要となった時は、主治医の先生とよく相談をして、献血者に感謝しながら受けられることをお勧めいたします。どうしても納得がいかない時は、時間が許す限り、手術などを受ける時と同じようにセカンドオピニオンを求めることも決して遠慮する必要はありません。しかし緊急事態の場合は側にいる医療関係者に頼り、輸血の安全性を思い出してください。それでは。

2017年12月18日 月曜日 13:21

人工甘味料の話

カロリーのない、お砂糖代わりに使われる人工甘味料についてよく質問されます。特に安全性についてです。発ガン性はあるのか、神経に影響するのかなどが一番多い質問です。それから、もう一つの大きな関心事は、本当にダイエットに効果があるのかという点についてです。アメリカの人口の50%以上が人工甘味料を愛用していると言われている現在でも、多くの方々が上記のような疑問や不安は持ち続けているのですね。という訳で、今回は人工甘味料の中でも需要が上位3位までを占める、サッカリン、アステルパーム、スクラロースについて、簡単にお話しさせていただきます。

サッカリンは人工甘味料として、最初に需要が世界的に拡大された化学物質です。水に溶けにくいですが、他の人工甘味料と同じく、甘みは砂糖の数百倍です。でも甘みと共に苦味もあり、味を好まない方も多いです。安全性については、1960年代に動物実験で、大量のサッカリンを注入した時に発ガン性があると指摘され、一時発売が禁止になりました。しかし研究で使われたサッカリンの量が、あまりにも現実離れするほど多かったこと、実際に発生した癌も特定のグループの動物だけだったこともあり、人間が通常使用する量での発ガン性は無いに等しいという結論に至りました。そして、1970年代から一般使用が再開されています。

アステルパームはアミノ酸の一つで、サッカリンのような癖もなく、お砂糖よりもアステルパームの味を好むファンもいるのが現実です。アメリカではNutrasweet、日本ではパルスイートの名で知られています。発ガン性についてはやはり、動物実験で大量に使用した場合、発ガン性に関連すると発表した研究論文が一度はありましたが、その有効性は十分に受け入れられず、その後の実験では発ガン性は認められていません。ただし、フェノルケトン症という遺伝性の代謝障害をお持ちの方は、アステルパームの使用は避けなければいけません。

最後にスクラロースですが、これは味も化学記号も一番お砂糖に似ています。これはアメリカでは大人気で、Splendaの名で知られています。日本ではまだ一般向けには発売されていません。安全性については色々な意見が出ていますが、科学的証明というところまで達していないのが現状です。

ダイエットにつきましては、人工甘味料は脳を刺激し食欲を旺盛にするため、肥満の原因になっているのではとの意見が強くなっています。それでも糖尿病患者さんたちが、血糖をあまり上げずに甘いものを楽しむためには有効です。神経に影響があるという意見も頻繁に聞きますが、いまのところ一般的に認められているデータはありません。最後に安全性に対する私の意見を言わせていただきますと、自然のお砂糖でもその他の栄養素でも、摂取量や使い方が極端になれば、体に害をもたらすことがしばしばです。自然のものも人口のものも、それらに対する正しい知識を持った上で、適度な量を使用することが大切だと思います。

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プロフィール

Dr. Yutaka Niihara(新原豊), MD, MPH

1959年生まれ。東京都出身。
ロマ・リンダ大学宗教学科卒、同大学医学部卒。
ハーバード大学公衆衛生学修士卒。
Emmaus Life Sciences, Inc. President and CEO
UCLA 医学部教授(University of California, Los Angeles Harbor-UCLA Medical Center)

エマウス・メディカル・ジャパン株式会社

113-0033 東京都文京区本郷2-20-11 石飛ビル 1F TEL:03-6801-8250 / FAX:03-6801-6166
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