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Dr.新原の健康講座

2015年4月20日 月曜日 09:29

深呼吸の話

 長い間座って仕事をしている時、思い出したように深呼吸をする時があります。そうすると、体がすっきりして、頭の回転も少し速くなるように気がします。これは気のせいではありません。正しい呼吸は健康を維持するためにとても大切なのです。

 最近では、呼吸を基礎にした健康法が幾つもあり、多くの「呼吸専門家」たちによって伝え教えられています。私はそのような「呼吸専門家」ではありませんが、今回は医学的に立証されている、深呼吸の効果を挙げながら、それの大切さをお話してみましょう。

 深呼吸をすると、まず肺を開きます。私たちは長い間座っていたり、猫背にしていると、肺の一部分を閉じたままにしている状態を作ってしまいます。健康な人は肺は50%も使わなくても体に十分な酸素を吸い込むことができるので、そんな状態でも、別に息苦しくもなく、普通に活動できます。しかし、それが長く続くと使われてない部分の肺機能が弱くなってしまいます。その上、肺炎にもかかりやすくなります。ですので、定期的に肺全体を思い切り広げてあげることが大切です。でも深呼吸は頻繁にできるものでもありません。深呼吸ばかりしていると、呼吸のバランスが取れなくなり、体内の酸素と二酸化炭素などの比率が崩れ、頭がふらふらしてくるでしょう。深呼吸は激しい運動をしていない限り、一時間に数回で十分です。

 深呼吸で肺を開くと、そこを通る血管も拡張し、体全体の血行がよくなります。これは心臓をはじめ、体中の臓器に良い結果をもたらせます。机に向かった仕事のお蔭で少し眠くなったりするときも、血行の促進により、頭がすっきりとした気分になります。

 もう一つ面白しいのは、深呼吸をするとエンドルフィンは分泌されます。エンドルフィンというのは体の細胞をリラックスさせ、壊れた部分の治癒を促す分泌物です。イライラしている時なども、深呼吸をすると心が少し落ち着き、平安になるのもそのエンドルフィンの効果が関係していると思います。

 エンドルフィンの効果を一番分かりやすく感じられるのは、息を大きく吸い込んでから、少しの間息を止め、数秒後、息をスーッと吐き出す時です。その時体がふわーとした気持ちになりますが、それはエンドルフィンのお蔭だといわれています。私も時々、ストレスが溜まった時などそうしますが、体も心もすっきりとするような気がします。

 深呼吸は、身近にある健康法の手段ですね。皆さんもストレスが溜まったり、デクスワークに疲れたときなど、深呼吸をする習慣をつけてみませんか。

2015年3月20日 金曜日 17:03

乗り物酔いの話

 今の時代、乗り物に頼らずに生活するのは殆ど不可能と言っていいと思います。車、飛行機、船など、仕事やレジャーのために、大多数の方は乗り物をほぼ毎日利用されることでしょう。移動の時間を短縮し、旅を快適にするだけでなく、海外など自力では到底たどり着くことができない場所に行くことを可能にしてくれるのが乗り物です。しかし、今も昔も、この便利な道具につきものなのが乗り物酔いです。
 乗り物酔いは、産業革命後にできた近代的な乗り物だけに起こる症状ではありません。馬車、牛車、船などでも酔ってしまう人々が昔からいたようです。この疾患は、あまり慣れていない体の動きが続き、三半規官(耳の奥から私達の体の位置や体制のバランスをコントロールする器官)に負担がかかりすぎて起こる現象です。症状は、皆さんも経験したことがあると思うのですが、あくびから始まり、めまい、げっぷ、むかつき、嘔吐、脱水などです。その殆どは命に関わる心配はありませんが、それが長い航海などで数日続くとなると、脱水によるために起こる臓器不全に注意しなければなりません。そうでなくとも吐き気というのは、最も好まない感覚のうち一つと言えるでしょうから、出来れば避けたいものです。
 乗り物酔いを防ぐ為に色々な方法が試されてきました。これといった医学的論文となった研究はあまり無いのですが、一般的な知識、そして多くの方々の経験などから予防と治療法が開発されたようです。まず大切なのは、長時間乗り物前の寝不足を防ぐことです。乗り物に乗ってすぐ眠れるのなら問題は無いのですが、そうでない場合、寝不足は三半規管の働きを鈍くします。また、空腹よりは食べ過ぎでないようほどほどに食べておいた方が吐き気を催さないようです。しかし吐き気がひどい時に、無理に食べる必要はありません。その代わり、ある程度の水分は撮るべきです。最近の旅客機はゲームやテレビなど娯楽が盛りだくさんになってきましたが、乗り物酔いしやすい方は、あまり長い間、小さなスクリーンなどを見続けない方が良いでしょう。それとお酒も避けてください。船や車の場合、排気ガスの臭いの少ない場所、そして出来るだけ換気の良い場所にいることにより発症を防ぐことができるようです。酔い止めの薬は、処方の必要なものから、処方なしで購入できるものまで様々ですが、自分に一番合うものを何度か試しながら選んでいくことも大切です。必要に応じて主治医と相談してください。腎臓や肝臓に疾患がある方や、その他の病気を持っている方は、薬に関しては必ず主治医と相談してください。ちなみに、私は船に乗る時などはTransderm Scopという貼り薬を使います。
 それではまた。乗り物酔いを防ぎ、この春も多くの方々が良い旅を楽しまれますように。

2015年1月16日 金曜日 11:20

定期健診の話

 健康を維持するためには、いろいろなレベルで注意したり努力したりする必要があります。注意や努力という言葉には少々重苦しい響きがありますが、健康を維持するための「注意、努力」というのは、生活習慣の一部として取り入れることにより、思ったより容易に実行できるものです。上記の「いろいろなレベル」とは、予防、早期発見、症状対処の三つに大きく分けることができます。予防は病気になること自分を防ぎ、そして症状対処は、病気の症状が出た時それに応じた診断、治療をする医療を指します。

 定期健診の一番の目的は病気の早期発見です。病気になってしまっているのにまだ自覚症状もなく、診察した結果に異常があった場合、それに対して早期治療を促すための手段が定期健診なのです。一番大きな目的として、癌など、症状が出てからでは治り難しいけれど早期発見すれば完治する可能性が高い病気の診断と治療があります。もう一つの目的は、検査の対象となる疾患自体はそれほどの問題は無いけれど、放っておくと高脂肪症のように心筋梗塞などの二次的な疾患の原因となる状態の改善です。

 どの病気でも早期発見できれば問題ないですが、検査の正確さに限界があり、定期健診の対象となる疾患の数には限りがあります。現在、アメリカの定期健診の対象となっている癌の種類には、乳がん、子宮頸がん、大腸がん、前立腺がんがあります。日本では胃がんもその対象となっていますが、アメリカでは日本と比べると頻度がとても低く、公衆衛生学的には定期健診の効果があまり見られないので、健診には含まれません。しかし、日本で生まれ、成人してからアメリカに来られる方に、時々日本の人間ドックなどで胃がんの健診も受けるのが良いのではないでしょうか。

 アメリカの検診に戻りますが、まず乳がんについて述べます。一般的に乳がんの病歴が家族や自分自身に無い方は、40歳から乳房レントゲンを受けてください。一般に、2年続けて何もない場合は1年おきでも良いと言われています。家族歴、自己歴のある方は、主治医の指示があるはずなので、それに従ってください。次に子宮頸がんです。性的交渉が始まった時から、毎年必ず健診を受けてください。早期発見されればとても治りやすい癌ですが、発見が遅れると、治療率がほとんど無いといえるほどまで低下します。大腸がんは、一般的に50歳から内視鏡による健診を受けてください。これも2年続けて何も無い場合、2年か3年に一度の検査になります。しかし、大腸がんの家族歴または自己歴のある方は、主治医がそれぞれに応じた指示を出すはずです。前立腺がんも、50歳を境として検査を一年に一度受けてください。前立腺の健診の場合、前立腺の触診と血液検査が行われます。

 この他、癌以外にも血圧、体重、コレステロール値など検査が健診に含まれます。それらも健康について重要な情報を与えてくれますので検査結果を主治医と相談してください。大切なのは、健康であると思っていても、年に一度は健診を受けることです。それではまだ。

2014年11月3日 月曜日 21:49

怒りの話

 誰でも怒ったことのない人などいないと思いますが、どうでしょうか。怒りというのは人間にとっては生まれ持った感情の一部であるでけでなく、ある意味、生存するためには不可欠ものともいえるかもしれません。怒ることが悪いという意見もありますが、怒ること自体に人間の品性を見い出すことは難しいです。しかし、怒る理油、そして、その怒りの対象となるものが何かを考える時、ある程度、その人の品性も判断できるかもしれません。医学的には怒りに限らず、感情の表現があらゆる面で健康に関係するものであると研究を重ねる上で理解されてきています。

 さて、医学的に怒りの感情はどのような形で私たちの身体に影響を及ぼすのでしょうか。まず、それは血圧を高くします。運動すると激しい動きに対応できるように、血圧が高くなりますが、それに似ています。ただ、怒りの場合は激しい運動がこれから起こると体が想定して、運動する前から高くなるので、血管や心臓に大きな負担となります。しかし、その感情がもたらす瞬発力というのはとても大きく、普通では考えられないような行動を可能にする場合もしばしばです。しかし、突然、体が準備もせずの状態に起こる出来事なので、それが繰り返されますと、必ず、筋肉や血管などの臓器を破壊します。そして怒りの感情が継続しますと、エンドルフィンをだすことが出来ず、破壊された細胞や臓器の再生を妨げます。実に、怒りが原因で脳梗塞を起こしたり、心臓が不整脈をになったり、心臓麻痺で心臓が止まる時もあります。そのような、大事にならなくても、体中の臓器に負担となっております。怒りのもう一つ怖いところは、感情のコントロールが利かなくなり、通常では考えられないような、または後悔するような判断をしてしまうことです。これにより、自分を傷つけるだけでなく、命まで失ってしまったり、人を傷つけてしまうことです。

 前述したように、怒りは大切な感情の一部です。私たちの責任はそれをどのようにコントロールし、有効的使うかですね。いくつかのお勧めをリストにしてみます。1)怒りの対象について、気持ちが落ち着いている時によく考え、次回は怒る価値があるかを考える。2)自分の判断を劣らせる薬、お酒、過労などの関係をよく考え改める。3)怒るべきと思われる状態でどのような言葉、行動が、怒りの対象、自分、またその周りの人々に対して一番効果的かを考える。4)必要であれば心理学士などのカウンセリングを受ける。

2014年8月22日 金曜日 19:00

昼寝の話

 「睡眠が足りない」といわれるのをよく聞きます。確かに現代人は夜も電燈のおかげで、寝る時間を割いて仕事や娯楽に沢山の時間を費やすのが当たり前のようになっていますね。皆様も経験されたことがあると思いますが、寝不足になると、仕事の効率が悪くなり、記憶力と理解力が下がり、気持ちも苛立ちやすくなります。そして個人さはありますが、睡眠不足の度がある点に達すると、興奮剤などを使わない限り、朦朧として目を覚ましていられない状態になります。こう考えると当たり前のことですが人間の生活の中で、しっかりとした睡眠時間をとることは大切なことですね。(注:興奮剤系の薬を眠気防止などのために絶対に使わないでください。それは体を確実に壊しています。)

 と言うわけで、定期的な毎日の睡眠を必須とした上での昼寝の効果、必要性などについて少しお話します。昼寝をするなんて贅沢と思われる方もいらっしゃるでしょう。でも昼寝がバランスの取れた食事や運動と同じように、体調を整え、あるいは寿命も伸ばすなどと言われれば、夜の睡眠と同じように大切な生活習慣と認められるようになるかもしれませんね。夜の睡眠が贅沢と言われる方はほとんどいませんし、それは生きていくために必要なものとして私たちのスケジュールは大体組まれています。それと同じように昼寝も生活のサイクルに組み込まれる理由は果たしてあるのでしょうか?
 
 昼寝といいまいしても、15分から30分の仮眠のことであり、お昼休みなどの時間でも十分間に合うものです。返ってそれ以上の時間をとるものとすると、生活にも健康にもあまりプラスにならないようです。一般的に認められている昼寝による効用は、言い伝えのようなものから、しっかりとした研究によるものまで様々ですが、15分ぐらいの昼食後の昼寝で脳の働きがよくなり、集中力上昇、テストなどでミスが減少することなどは実証されています。そのほか、体力アップ、気分がよくなる、脈拍が下がり安定する、血圧が下がるなどのデータが出ています。

 最近、高齢者の方々を対象とした研究で、適度な運動と同様に昼寝の習慣が長寿で健康を保たれている方々に多くあることが複数の論文で発表されています。考えてみますと多くの文化ではすでに昼寝は生活の一部ですね。ちなみに、ギリシャのある島では昼寝をすることが当たり前で、それが確実に長寿の秘訣と言われています。

 体は活動すればするほど、適度の休みが必要です。そうすることにより、体の痛んだところを癒し、廃棄物を出し、新しい細胞を造り、リセットするチャンスをもたらします。それは長い休みでなくともいいようです。個人差はありますが、休みは大切な生活の一部として取り扱わなければなりません。短い昼寝も贅沢とは思わず、大切な健康維持の手段として試されてはいかがでしょうか。それではまた。

2014年7月19日 土曜日 20:26

笑いと健康の話

 大学時代に「Anatomy of an illness」という本を読みました。その著者のノーマン・カズンズさんは有名な作家であり、人類学の学者で当時UCLAの教授だったのですが、大変大きな病気にかかり、もう助かる見込みはないと医者に宣言されたそうです。しかし彼は落胆するどころか、お笑いのテレビを見続けて,とにかく笑って笑って時間を過ごし、病気を屈服したと書かれていました。この本を読んだ頃は私もまだ若く影響されやすい学生でしたが、医学に進もうとしていた時期だったこともあり、さすがにカズンズさんの本に書かれていることを素直に受け入れられませんでした。しかし、1986年の医学部卒業式の時、その気持に変化が起こりました。というのは、カズンズさんが主賓として招たのです。その時の講演でも,笑いで病気が治ったという話をされたのですが、さすがに本とは違い本人の話はとても説得力があり、やはりあの話は本当なのかなと思うようになってきたのです。

 そのような経緯の中で私は、心の持ち方と健康にとても興味を持ち始めたのですが、調べてみると笑いが体にどれほど良いかということは、医学学的にも沢山のデータが出ているではありませんか。こんなところにも健康の源があるかと気がついた次第です。

 前置きが大分長くなってしまいましたが、具体的に笑いが生理学上どのような効果があるのかを簡単に説明して、それから医学的にも、病気の治癒のためどれほど笑いや平安な気持ちが大切かということを述べてみましょう。

 まず十分に証明されていることは、笑いはストレスを解消するのに役立ち、余計な筋肉の緊張を防ぎます。そうなると血圧が適当に下がり、血行がよくなり、酵素が細胞に十分に行き渡ります。それから鎮痛効果のあるエンドルフィンとういホルモンが分泌され,体中が気持ち良く、また効率よく働けるようになります。

 そのような生理的効果があると、医学的にも心臓病、高血圧症、糖尿病などにとても良い効果があることが証明されています。その他にも、ウツなどの精神疾患や免疫降下による感染病、癌などにも効果があるのではと言われています。

 昔から諺で「笑いに勝る良薬なし」や「箪笥長持ち持ってくるより笑顔一つの嫁が良い」など笑いに関するものは多いですね。そして、それらがどれをとっても、笑いが私たちの生活の中でとても大切であることを示しています。昔からの諺が、最近の医科学で本当だったと証明されてきているわけですが、物質的には豊かになった現在、笑いが少なくなってきているのではないでしょうか。無理にでも笑ってみるのも面白いかも知れませんね。

2014年6月13日 金曜日 18:59

脱水症の話

 ここロスアンゼルス近辺では例年より涼しい日々が6月に入っても続いていましたが、この数日やっと夏らしい天候になってきました。この地域は湿度が比較的低く、気温も常に高めですので、過ごしやすい気候だとよく言われますね。でもそんな中、気を付けるべき点も多くあります。特に脱水症には気を付けていただきたいです。

 なぜ脱水症にあえてこだわるのか?と自分に質問するのですが、その答えは、私たちの健康においてその水の大切さでしょう。私たちの体の大半は水でできています。体の水分の占める割合は生まれた時の90%を頂点として年齢とともに大人になるまで少しずつ減りますが、大人になっても約60%は水分です。水分が十分体に含まれていると、強い日差しにも、乾燥した空間にもある意味、一番の防御になります。ただし、そのためには常に水分を補給しなければなりません。砂漠などの乾燥した高温の場に日中さらされますと、気温が摂氏35度位で1時間に1~1.5リットリの水分を失います。砂漠地帯の国立公園などもありますが、そのような場への外出時は必ず水を持って歩かなければなりません。少し迷子になった、予定より30分余計に歩かないといけないなどという状況で、水があるかないかが大事に至るかどうかを左右する場合もあります。

 ロスアンゼルスは今こそ立派な都市ですが、地域的には砂漠地帯です。海の側はまだいいほうで、20㎞も内地に入れば、紛れも無く砂漠気候です。気温が摂氏30度を超える日の長期外出は水分の補給を十分に計画し準備なさってください。お子さんたちを連れて公園などに行くときは特に大切です。子供は大人より体重に比べて水を多く必要とします。遊びに夢中になり、脱水して日射病になるケースも南カルフォルニアでは少なくありません。

 そして、年配の方々です。彼らは色々な理由で水分を取るのが少なくなり、脱水症になりやすいです。勿論、腎臓病などで水分の摂取量が制限されている場合もありますが、バランスよく体に必要な水分が保たれているようにしてください。発熱、下痢、嘔吐などは脱水症を促しますので、特に注意していただきたいです。頭痛、発熱、意識の異常なども脱水症の症状です。

 水分補給の必要性は状況によって大分違いますが、一般的に健康な方は普通の生活上、一日大人でコップ8杯から10杯の水を飲むよう勧められています。ゴルフなど外で過ごす時間の多い方々は粘液に通常以上の粘りがでたり、唇がかさかさになるのを防ぐのを目安にされるのも一つの方法です。最後に、脱水状態の時、アルコール飲料は禁物です。

2014年5月16日 金曜日 13:43

寝不足の話

 こんにちは。今回は寝不足についてですが、これは不眠症とは少しニュアンスが違います。私がお伝えしたいのは、最近いかに多くの方が仕事や娯楽のために睡眠を軽視し、健康を犠牲にしているかということです。不眠症の方々は寝ようと思っても眠りにつけず困っているのですが、現代人の多くは眠気があって眠るべき時でさえ、それを無理に抑えて睡眠時間を削っています。

 まず、睡眠の大切さを少しお話しさせていただき、その後、実際に寝不足がどのように体に負担を与え、健康の妨げになるかを一緒に考えてみましょう。

 私たちが起きている間は脳も体も活発に動いていて、ホルモンなどが体内に多く分泌されます。また筋肉や臓器の細胞も忙しく活動しているため、体の疲労回復のためのメンテナンスや再生を必要とします。活発な活動の後、体の中に疲労物質というものが溜まります。それは、細胞の活動や修復のために使われた成分のカス、または排出物のようなものですが、それがある程度以上になりますと脳に信号となり送られ、体を休めて細胞のメンテナンスや再生をするように促します。

 このメンテナンスと再生を怠ると、体は老化する一方です。寝る時間を一日や二日削った程度ではあまり感じることはないかもしれませんが、寝不足が続くと体の働きの能率は確実に低下し、子供でも大人でも細胞の成長が遅れます。睡眠は食事や運動と同じように、体の健康を創り維持するためには不可欠なものなのです。

 それでは、実際に寝不足が続くとどのような問題が体に起こるのかを具体的にいくつか挙げてみましょう。まず、私も経験したことがあるのですが、理解力、分析力がとても鈍ります。例えカフェインなどの効果で目は覚めていても、よく休んだ時と比べ、同じ仕事をするのに数倍の時間がかかるだけでなく、仕事の質がとてもお粗末になります。ですので、私自身は時間が許す限り、あえて大切な仕事は十分な休みの後に回すようにしています。

 筋肉や臓器に関して言えば、睡眠をしっかりといっていないと細胞の再生が十分にできないために負担が溜まり、不全をもたらします。免疫についても同様で、確実にその力が下がるため感染病などにもかかりやすくなり、外傷なども治りにくくなります。そして又、寝不足は肥満にも繋がります。なぜなら一つの理由として、食欲はストレスなどで増やすのですが、疲労によって運動量そのものが減ってしまうからです。睡眠を削ることは活動時間が増えるように思えそうですが、実際には体の能率を下げ、極端な場合は寿命をも短くするのです。ですので、適度な睡眠を大切にしてください。それではまた。

2014年4月18日 金曜日 09:55

花粉症の話

暖かい季節になりましたね。私の近所でも今年も色とりどりの花が咲き始め、木々も青々としてきた。……。まではよかったのですが、それと一緒にくしゃみ、目のかゆみ、そして、涙、鼻水、と例年のごとく花粉症もちゃんと戻ってきてくれました。たいていの場合は、〝重症″と言いがたく、あまり大げさにするには恥ずかしいような気もするコンディションですが、兎に角、厄介なものである事を否定する人も少ないと思います。

この疾患は、名前のごとく花粉などによるアレルギーです。春になりますと色々な粉状の蛋白質の物体が大気の中を飛び回るようになります。私達の体というのは、本来、外敵に対抗する為に抗体を作るのですが、それは、バクテリアとかウィルス等から体を守る為です。外敵というのは殆ど蛋白質の成分を持っていて、抗体はそれらに対して作られます。勿論、蛋白質でも、外敵でないものに対して体は、抗体を作らずにそれらを受け入れ、共存できるようになっているのですが、その働きが上手くいかなくなり、外敵でないものに対しても抗体を作ってしまう時のことをアレルギーと呼んですます。

花粉症の症状は上記の通りで鼻炎、結膜炎、微熱などによるものが殆どで、それほどの病気でもないのに、普通に仕事をしたり生活をしたりするのが難しいですね。一世代前と比べてこの疾患をもつ人口が増えた理由として、世の中に加工物、公害が増えた為ではないかとの仮説も取り上げられております。花粉等、自然の蛋白質だけなら花粉症になる率はそれほど高くないのですが、それらに公害や加工物等が合わさった時、抗体が出来やすくなると言うことです。そして、一度花粉症になってしまうと花粉等自然のものだけが鼻の粘膜などにくっ付いても体が抗体によって反応してしまいです。

まだ花粉症の症状が出ていない方は予防として、室内浄気機などを使い、できるだけ顆粒子の少ない空気の中で多くの時間を過ごすことができれば良いでしょう。しかし、なかなか現実的には難しいですね。外ではマスクをして空気をフィルターすることも一つの方法です。

症状がすでに出ていらっしゃる方は、シャワーなどの蒸気で粘膜を潤すことにより粘膜の炎症をある程度抑えることができます。薬は抗ヒスタミン剤、抗ロイコトリエン剤、ステロイド剤、プソイドエフェドリン等、様々です。これらの薬は皆、症状を抑える薬で、病気の根本は治せません。ただ症状を放っておくと、粘膜等に弊害として感染を起こしたり、また、脱水症状など起こす場合がありますので、主治医と相談しながらそれらの薬をお使いください。根本治療についてはアレルギー専門医にご相談ください。代替治療も見直されてきておりますので、そちらも、主治医、又専門の方々と相談されながら、考えられても宜しいのではと思います。ただし、代替治療はあまり規制がないので、その辺を特に注意してください。

2013年3月1日 金曜日 00:00

寒さと病気の話

 人間は熱を出す生き物で大体体温を摂氏36.5から37度ぐらいを保っております。当たり前ですが通常は服を着ているので体温より摂氏11度から15度くらい低めで適当に湿度のある気候が過ごしやすいといわれています。あまり暑すぎても寒すぎても体にそれなりの負担がかかります。
 さて今回は寒さに焦点を置いて少しお話をします。
 よく寒さと飢えの辛さを語った物語などが多いですが、いったい寒さとは私達の健康状態にどのような影響を及ぼすのでしょうか。まずは風邪、寒い気候の時には風邪またはインフルエンザになりやすいのは皆様の知ってのとおりです。どちらもウィルスによる感染病ですが、冬にかかりやすい理由の一つとして考えられるのは乾いた空気です。乾燥した空気の中では鼻や喉の粘膜も乾いてしまい、外からの病原菌の進入を防ぐのが難しくなりますので、うがいや加湿器などでの予防が効くようです。外出などの後には手をよく洗うことも大切です。そしてまた体が冷え込みますと血液の循環能力が低下して免疫関係の細胞が体中を十分に動き回れなくなることも関係があるようです。適度の運動をして血液の循環をよく保ちたいものです。
 その次によく心配されるのは、脳卒中と心臓疾患を含む循環器系の病気です。寒くなりますと体温が下がるのを防ぐために血管が収縮して血圧の上昇につながります。そうしますと、上記の疾患に侵されやすくなります。11月の半ばから春先にかけて脳卒中の発生率は高くなります。特に寒波が4~5日続いた後に多いようです。
心臓発作なども典型的なケースは、お腹一杯に食事をした後、寒い中を散歩したときに胸に異常を感じるというシナリオです。その他、寒さというのは体のあらゆる部分に影響します。皮膚、腎臓、膀胱、目など、一つひとつ挙げていきますときりがありません。こう書きますと、寒さとはとても恐ろしいような気がしますね。しかし人間の体はとてもよく出来ていまして結構過激なストレスにも耐えられるようになっております。でもわざわざ頻繁に、ストレスにかける必要はないですよね。たとえば、自動車にしても普通の運転では必要のないような機能が多く積み込まれておりますが、そのような機能に頼り頻繁に無理を車にかければ新車でも早く壊れてしまいます。少し弱いところのある車でしたら余計です。私達の体や体力は人それぞれですが、寒さなどによる必要以上のストレスをかけるのは非常事態のときと他にどうしようもないときだけにしたいものです。(本当に、当たり前のことですが、)寒いときは、適当な服装で適当な温度と湿度の部屋にいるのがよいでしょう。ちなみに、適当な湿度とは個々の好み、また体質の違いによりある程度のばらつきがありますが40%から60%ぐらいです。適当な運動もお勧めです。運動は熱をつくりますので、寒さの対処としてはとてもよいですし、体の循環もよくします。ただ注意していただきたいのは、部屋の中ではなく外の寒い中で運動をして、汗をかいたときそのまま寒い場所に居続けないことです。かえって体を冷やしてしまいます。それと心臓など循環器系の疾患のある方は寒いときに外での運動は、避けたほうがよいです。それは散歩程度でもです。どうしてもという場合は主治医の先生によく相談してみてください。
 寒さと上手につきあってよい冬をお過ごしください。

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プロフィール

Dr. Yutaka Niihara(新原豊), MD, MPH

1959年生まれ。東京都出身。
ロマ・リンダ大学宗教学科卒、同大学医学部卒。
ハーバード大学公衆衛生学修士卒。
Emmaus Life Sciences, Inc. President and CEO
UCLA 医学部教授(University of California, Los Angeles Harbor-UCLA Medical Center)

エマウス・メディカル・ジャパン株式会社

113-0033 東京都文京区本郷2-20-11 石飛ビル 1F TEL:03-6801-8250 / FAX:03-6801-6166
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