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Dr.新原の健康講座

2016年2月18日 木曜日 10:27

バイタルサインの話

バイタルサインと言いますと、血圧、脈拍、呼吸数、体温のことを指します。お医者さんのオフィスに行ったことのある方でしたら、誰もが調べていただいたことのある数値だと思います。バイタルサインはとても簡単に測ることができるせいか、ついその価値を見過ごしてしまいそうになる時がありますが、それはとても危険なことです。診療をする立場にある者にとって、このバイタルサインは、大切なとても多くの健康に関する情報を与えてくれる、診断、治療にとても大切な道具だからです。という訳で、今回は皆様にも比較的簡単に測ることの出来る、このバイタルサインを通して、健康状態に関するどのような

情報を得ることが出来るかなどについて、お話させていただきます。

まず、血圧です。高血圧症については、先天性のものもあれば、身体の一部の兆候として現れる場合もあります。高血圧になりますと、それ自体があらゆる臓器の負担になるので、気をつけなければなりません。持続的な高血圧はもちろん治療しなければなりませんが、それと同じぐらいに注意を払わないといけないのが、いつもはないはずの数値の変化です。安静時の普通血圧の上が130台のはずなのに、体がだるいと思って血圧を測ったところ、160以上もあったなどという時は、腎不全、脳梗塞、虚血性心臓疾患などの疑いも考えなければいけません。寝不足や異常な疲労を伴う時も、血圧が急上昇する時があります。血圧でもう一つ知っておかなければならないのが、低血圧です。通常から低めの方もいらっしゃいますが、脱水症、敗血症(ばい菌が血液の中で繁殖し始めた時に起こる疾患)、出血、神経性の血管拡張などが考えられます。

次に脈拍ですが、正常とされているのは、1分間に60から80拍のほとんど一定なリズムでの鼓動です。リズムが乱れていれば、心臓や甲状腺の疾患からくる不整脈などを考慮します。安静時、脈が早い時は、先ほどあげた心臓や甲状腺の疾患に加え、刺激物などの服用、敗血症などによる血圧の降下などがリストされます。1分間の心拍数が少ない場合も、診断上ミスをしてはいけません。運動選手などは、心拍数が1分間60以下の方々が多いですが、それは例外として、だるさなどを伴う低心拍数は、心筋炎や拡張性心筋症の恐れがあります。

呼吸は、呼吸器に少しでも問題があると、速めになります。体に熱があったりしてもそのようになります。またそれとは反対に遅くなる時は、鎮静剤や麻薬の服用、脳神経の疾患などの可能性を考えなければなりません。

最後に体温ですが、感染の場合大抵体温は上がりますが、時には下がる場合もあります。特にお年寄りが重症な感染にかかられた時は、そのようになりやすいです。その他、腫瘍、脱水、薬物反応などでも体温は上昇します。

今回は簡単にバイタルサインについてお話しましたが、皆様も定期的に自分の健康の目安として測ってみてください。

2016年1月20日 水曜日 15:23

運動の話

さて、お正月と言えば一年の目標ですが、今年は運動を目標とされた方々も多いのではないでしょうか。私も体重を減らし、運動ももっと定期的にすると、毎年のように目標を立てています。残念な事に思うほどできずじまいで一年を終えてしまうのですが、それでも七度倒れてもまた起きるの気持ちで、今年も運動と減量を目標としてみました。

今回は、適度な運動、またどうすることによりそれを持続できるかにつきまして、お話してみたいと思います。

適度な運動は健康を保つため、とても大切であることは言うまでもありません。血圧を適度に下げ、コレステロールを正常値に近づけ、心臓、肺の機能を上げ、筋肉、骨を強化し、その他あらゆる成人病の予防となります。アメリカの大学卒業生を対象にしたあるデータによりますと、癌の発生率も、定期的に運動している人の方が50%から70%低くなっていると発表されています。これほどいいことが多い運動ですから、是非という気持ちになるのですが、どういうわけか、スポーツクラブなどでも会員のうち、定期的にクラブを使用されるのは20%かそれ以下と言われています。

やはり、時間が十分に取れない、あまり楽しくない、などが原因なのでしょうか。他にも色々な理由はあると思います。とりあえず、目標達成のために自分の身近にあるもので、始めることが良いでしょう。散歩などはとてもいいです。散歩をされるのなら、普通の健康状態の方は、一日8,000歩から10,000歩くらいの歩数を週3回から5回こなすことを目標とされるといいです。普通に歩いて、60分から90分ぐらいの運動です。出来れば、それが楽しいと思えるように工夫されることをお勧めいたします。例えば、自分の好む方と共に会話をしながらとか、音楽を聴きながらとか、自分の好きな景色の場所を選んでとかです。はじめから60分が無理であるなら、20分ぐらいとか、とにかく始めてみることです。時間は食後1時間から2時間が適当です。散歩以外にも上半身だけで出来る運動などもあります。

せっかくパターンが出来ても旅行など、色々な出来事で仕方なく生活習慣を一時的にでも変えると、どうしても運動の時間は忘れがちです。そのような時も運動は食事と同じぐらい大切だと心がけておくことです。心臓病、高血圧、糖尿病、骨の病気など、既に健康状態に問題がある方は、運動がかえって問題を起こす場合もあります。ですから、一度主治医に相談して下さい。ほとんどの場合適度な運動は、病気が重症でない限り許可されるはずです。

それでは、今年も皆さんと共に健康を目指して執筆していきたいと願っております。

2015年12月17日 木曜日 11:22

メタボリック症候群の話

最近よくメタボリック症候群という言葉を聞くようになりましたね。これは、肥満に似た意味を持つ病名ですが、それをもう少し詳しく定義した医学用語と思われたら良いと思います。この病名は内蔵脂肪が異常に増え、それに伴い高血圧症、高脂肪血症、高血糖症のうちの2つ以上を複合する状態を指しています。内臓脂肪が増えますと上記の疾患が出やすくなり、またそれぞれの疾患に伴う合併症、例えば心筋梗塞、脳梗塞、腎不全等に冒されやすくなります。

それでは、どのような人がメタボリック症候群を心配しないといけないのでしょうか。まず内臓脂肪が増えますとウェストが大きくなりますので、とりあえず脂肪のためお腹が大きいと思われれば、考えてみることです。ウェストがおへその高さで、男性85cm以上、女性90cm以上の方々です。そして更に高血圧症、高脂肪症、高血糖症のうちの2つ以上が有ればこの診断が下されます。私の意見としては内臓脂肪が多すぎる場合、メタボリック症候群と診断されるまでいかなくとも、内臓脂肪が減るように努力するべきだと思います。内臓脂肪が必要以上に増えれば、高血圧などが出るのはもう時間の問題と思えるからです。残念な事ですが。

内臓脂肪が増える原因は結構簡単な事で、食べ過ぎと運動不足です。逆に言えば、食事と運動を適切にしていれば、内臓脂肪は正常なレベルに保つ事が出来るという訳です。

食事の量は身体の大きさや一日の運動量によって違ってきますが、体重1kgにつき1日30から35kcal位を目安にされると良いと思います。ほとんどの人は、身体がどれだけのカロリーが必要なのか空腹感で分かるはずです。しかしそうするには早食いではいけません。ゆっくりとよく噛んで食事をして下さい。身体に必要な栄養素が入れば満腹感がでるのですが、栄養素が口から血中に入るまでに、少し時間がかかります。早食いをしますと満腹感がでる前に、余分なカロリーをすでに胃の中に入れてしまった状態になっており、それらが血中に入る頃には食べ過ぎたことを後悔している事が多いのではないでしょうか。それから食事は出来るだけ動物性脂肪を控え、穀物、野菜、豆類、果物、ナッツなどでバランスを取ったものをお勧めいたします。

次に運動です。これは1日30分位の有酸素運動が良いと言われています。これは早歩きなど、軽く汗をかく位の運動です。大切なのは定期的に続ける事です。

分泌系の問題で、内臓脂肪が他の人と比べてなかなか減らない方もいらっしゃいます。そういう場合は主治医またはカウンセラーに相談して下さい。それではまた。

2015年11月18日 水曜日 14:00

冷え性の話

 

寒くなると「手足が冷たい」「凍りそうだ」と訴えながら、「どうしたらいいのでしょうか」というようなアドバイスを求められることがあります。中にはもう少し深刻に、「冷たさが痛みに変わってきた」「しびれる」など、とても心配になる症状で苦しまれる方も少なくありません。これらは冷え性の症状ですが、面白いことに西洋医学では、「冷え性」という診断はありません。ですので、アメリカでお医者さんにアドバイスを求める時、あまり真剣に扱っていただけない可能性もあります。持論で申し訳ないのですが、このようなところに西洋医学の足りなさを感じます。勿論、東洋医学にも足りないところは多いです。それだけ人間の体と機能、そしてそれを侵す病気というものは複雑だということでしょうか。私の個人的な意見としては、西洋医学にしても東洋医学にしても、お互いの足りなさを認め、補充できるところは補充し合いながら、患者さんの必要をまず優先して用いられるのが理想だと思います。

本題の冷え性に戻りましょう。まず原因です。この患者は男女にみられますが、発生率は比較的女性に多いです。男女の筋肉の大きさの差が関係していると考えられています。体脂肪は体温を体の中に保つのですが、筋肉のように熱を発しません。筋肉は血流も多く熱を発散し、内側から体を温めるので、筋肉が少ないといくら脂肪があっても内側に保つ体温が減ります。

もう一つの原因は、ホルモンなどに影響される自律神経の血流のコントロールだと言われています。寒くなると、抹消血管は体温を外に逃がさないために縮むのですが、そのために低温にさらされている四肢が、一番冷たくなります。それに加え、指先の神経は特に繊細ですので、寒さを余計に感じるのかもしれません。

冷え性自体はある意味、体を寒さから守る反応と考えられます。しかし冷たさを感じる、痛みを感じるというのは、それに対して何かをしなさいという体からの信号です。それを無視すれば、神経や皮膚に問題を起こす可能性もあります。

簡単な対応は手足をはじめ、体全体を温めることです。血管を拡張させる薬なども少しは効果はありますが、体を温めることが一番、体が必要とする対処法でしょう。どうしても寒さの中で一定の時間過ごさないといけない場合は、四肢、そして体全体を十分に温かくできる服装を着用して下さい。最近では使い捨ての薄いカイロがありますが、それらを手袋や靴下の中に置くのも良いと思います。ある程度寒い時でも、十分な栄養をとり、防寒をしっかりとした服装をした上で体を動かせば、筋肉から熱が出るので、しだいに四肢も温まるはずです。

2015年10月22日 木曜日 14:09

乾き目(ドライアイ)の話

講演を依頼されました時、質疑応答の際「乾き目」についてのご質問がありました。よく考えてみると、この症状に関することは最近よく聞かれます。というわけで、今回のトピックは「乾き目」についてです。

「乾き目」は涙の出る量が減ることにより起こる現象ですが、症状は軽い目の違和感から瞬きをするのも痛むほどの重症まであります。涙というと、主に感情の表れの対象のようにも思われがちですが、目の健康のためにとても欠かせないものです。涙は、血管のない角膜やその他の部分に栄養素を運び、目に入ってくるごみやほこりを常に掃除してくれます。その上、目の動きのスムーズさを保てるように潤滑液としても大きな働きをしています。涙の成分はほとんど生理食塩水と同じですが、深く分析しますともっと複雑で、現在の医学でも分析しきれないところがまだまだある、神秘的な液体です。

この涙の量がある程度減りますと、違和感だけでは済まず、実際に目を傷つけ目の健康を危うい状態にします。「乾き目」の重症なケースでは失明する可能性もあります。

原因は環境による影響から自己免疫症まで様々ですが、何が原因であっても言うまでもなく「乾き目」は出来るだけ早く対処しなければなりません。目が乾く時はとりあえず「乾き目」用の目薬などを頻繁に点眼して下さい。その上で原因を調べ、根本的な治療ができるようにされるのが理想的です。環境の原因は湿度の低下です。ヒーターの入った部屋、寒くて乾いた冬の空気などは目の乾きを促します。加湿器や目薬を使い、それに対応して下さい。女性の場合、閉経期に入りますとエストロゲンの低下に伴い涙の量も減ります。これは病気ではありませんが、この状態は乾いた空気の中では特に「乾き目」を起こしやすいので、目薬の点眼を心がけて下さい。コンピューターの画面も長時間見ていると「乾き目」の原因になりますので適当に目を休め、必要に応じて目薬を点眼して下さい。

少し厄介な原因はショーグレン症候群という疾患で、それは涙腺を傷めます。この疾患こそ重度な場合、失明をもたらすことがあります。「乾き目」が感じられる時はこのような原因の可能性もあるので、とりあえず医療機関での検査をお勧めします。

涙があるのは当たり前のように思ってしまいますね。しかし、そのように当たり前に思われる体の成分の一つ一つの大切さを時々思い起こし、それがあることを感謝するのも健康維持の秘訣なのかもしれませんね。

2015年9月17日 木曜日 14:04

口内炎の話

私事になってしまいますが、身体に無理を強いて仕事をしたり、旅行をしたりした後はよく口内炎が出ます。始めに口の粘膜が一部荒れてきたような感じがしたかなと思うと、次の日にはそこに潰瘍が出来ていて、結構ひどい痛みが伴います。似たような経験をされた方も、読者の皆様の中には多いのではないでしょうか。ここに描写されている口内炎は、再発性アフタ性口内炎という種類のもので、一般的に口内炎といいますとこの種のものを指します。これは疲れた時などに多く診られ、原因ははっきりと分かってはいないのですが、ビタミン不足であったり、粘膜が比較的弱くなっていたり、噛んだりして粘膜を頻繁に傷つけたりしているとなりやすいようです。大抵の場合、発生後一週間から十日ぐらいで治りますが、他の病気などで身体の調子が良くない時などはもっと長引く可能性もあり、身体全体の休息、健康回復が大切になります。時には二次的感染する時もあるので、できるだけ口の中を清潔に保つようにしていただきたいです。

この口内炎になった時に、一番大切なのは十分な栄養素と水分を摂ることです。痛みなどでそれらが妨げられる時は、主治医に相談して下さい。たかが口内炎であっても、そのような場合は身体に大きな打撃となりかねません。幸いほとんどのケースは痛みを伴うのにも関わらず、栄養素や水分は十分に摂取できるので、何も特別なことをしなくても、一定の時が過ぎると治ってしまうのがしばしばです。治療としては、ビタミンをはじめ栄養素をバランスよく摂ること、そして疲労がたまらないぐらいのスケジュールを保つことです。必要であれば、痛み止めや専用の軟膏なども症状を緩和するのに役立ちます。

これは誰にでも当てはまることではありませんが、私は口内炎が出るようになると自分の生活やスケジュールを少し見直します。当たり前のような話ですが、まだインターンで当直が多い頃、よく口内炎が出ました。しかしそんな時でも、休暇になるとほとんど出ることはなく、私自身に関しては口内炎の発生が自分の身体の疲労にとてもよく比例しているようです。

ところで他にも口内炎の種類は色々あります。バクテリア、そしてウィルスなどによる感染によるものでもあり、アフタ性と区別して診断をしないといけません。バクテリアが原因のもので代表的なのはジフテリア、淋病、猩紅熱などで、どれも熱と身体全体の症状があります。それらは速やかな抗生物質の治療を必要とします。ウィルス性のものは疱疹、麻疹、単核細胞症などがあります。疱疹に限って抗ウィルス剤が効きますが、それ以外は症状緩和に加え、栄養素と水分摂取の維持が治療の中心です。バクテリアであれ、ウィルスであれ、感染によるものはアフタ性と比べ症状が重く、大抵、医療施設での治療が大切になります。自己免疫症が原因の口内炎もあります。

最後に、口内炎の原因が癌または前癌状態である可能性もあることを心得ていて下さい。それではまた。

2015年8月19日 水曜日 14:02

アトピー性皮膚炎の話

 

アトピーと言われる皮膚の炎症のことをよくお聞きになると思います。これは一般的にアレルギー性の湿疹を伴う皮膚炎を指します。ですから、感染による皮膚炎、早期の皮膚癌による炎症、やけどなどによる皮膚の炎症などとは異なります。アレルゲンと言われる、アレルギーの原因となるものは人により様々ですが、大半の場合それがはっきりと分かりません。アレルゲンを確定し、それを避ける事が出来れば良いのですが、現実的にそれは確定する事も避ける事も非常に難しく、治療は根治よりも緩和に焦点が定められ、時と共に体自身が根治に向けて働いてくれる事に頼るのが現状です。

少し結論的な説明から今日は入ってしまいましたが、話を少し元に戻して、発症、症状、治療について簡単に説明します。発症につきましては先進国の子供に多く、発展途上国にはほとんど見られず、生活環境が関連していると考えられています。遺伝的な要素もあると言われ、アレルギー性の他の疾患、例えば喘息や虫刺されに極端に反応する体質などが家族内に見られる場合が多いです。

症状としては、子供の頃から頭から顔にかけて、赤みがかった炎症と共に、皮膚が乾き、白い粉を吹いたようになります。そして成長と共に範囲が広がり、思春期頃には体全体に広がる慢性湿疹が見られる事も稀ではありません。眉毛の外側が薄くなったり、皮膚も慢性化された炎症により硬くなる事もしばしば見られます。そして痒みは常にあり、精神的にもとても負担が多くなります。

合併症を回避する事、またそう出来なかった場合は即診断、そして治療する事は大切です。特に気をつけていただきたいのは感染症です。皮膚は体の最も大切な外敵に対する要塞といっても過言ではありません。皮膚がありますお陰で、私達の周りにはびこっているあらゆる病原菌から、私達の体は守られています。しかし、皮膚による防御が皮膚炎などにより壊れてしまいますと、とても感染しやすくなります。黄色ぶどう球菌やヘルペスなどによる感染度が高くなるだけでなく、通常と比べ命に関わるほど重症になる事も多いです。

さて治療ですが、これは始めに述べた通りで、現代医学治療による根治のための治療法は、残念ですがまだ見つかっておりません。しかし多くの場合、成人する頃には完治しているか、大分よくなっています。もちろん、そうでない場合やまた成人になってから初めて発症するケースもあるのですが。

もしアレルゲンを除く事が出来れば、それに越した事はありません。それ以外でまず勧められるのは、不規則な生活やストレスを避け、バランスの良い食事を摂り、よく体を休め、清潔にする事です。それだけでも炎症を減らし、感染症などによる合併症を防げます。その上で主治医と相談した上で、抗炎症剤などを緩和の為、注意しながら使うことも効果がありますので、ご相談してみて下さい。それではまた。

 

2015年7月13日 月曜日 13:59

たばこの話

 

私が子供の頃は、右を見ても左を見てもタバコを吸っている人がいたような気がします。それと比べますと、最近は殆どと言ってもよいほどタバコを吸う人はそばには見当たりません。タバコを吸う方々にとっては肩身の狭い社会に日本もアメリカもなってきたかもしれませんね。

1970年代頃よりさかんになりました禁煙運動ですが、今もその勢いは上るばかりです。公共の場での禁煙がこの頃では屋外にも強制される様になってきました。なぜとも言うまでもないですが、今回はなぜこれ程タバコが規制されようになったか、又タバコを止めるのにはどうしたら良いのかについてお話してみたいと思います。

昔から、タバコを吸う事は、あまり体に良くないとは知られていましたが、医学的にそれが主張されるようになったのは1960年代位からだと思います。それまでは、タバコが肺病の治療のために勧められる時があったほどです。

まず統計ですが、毎年どれ位の数の人々がタバコが原因となる病気でアメリカで亡くなっているかご存知ですか?なんと、50万人以上です。肺がんだけでもその内の約15万人を占めています。その他、喉頭がん、食道がん、膀胱がん、肺気腫、心筋梗塞、脳梗塞、肺血栓等多くの疾患が喫煙のために起こります。勿論、タバコの害は喫煙者だけに害を及ぼすのではなく、その周りの人々をも害するので本当に困ったものです。

タバコの煙の中には何百種類という毒物が含まれています。その中でも最もよく知られているのは、タールと一酸化炭素です。タールは肺に入ってしまうとなかなか出て行ってくれません。あのべっとりとした感触を考えるとよくわかるような気がします。しかし時間はかかりますが、タバコを控える事により肺は少しずつきれいになっていきます。タバコを一本も吸った事の無い人の肺に近いぐらいなるには15年近くかかりますが、止める事により、毎日着実にがんなどの病気になる確率は下がっていきます。クールに含まれている、ベンゾピリンという化学物質が特に発がん性が強いと発表されています。

一酸化炭素も大変毒性の強いものでして、ほとんど瞬間的に血中へモグロビンが酸素を体の組織に送るのを妨害し、血管をはじめ体のあらゆめ組織に大変な負担をかけます。ストーブの不完全燃焼による一酸化炭素中毒死のニュースなど聞かれた事もある方も多い事と思います。そしてニコチンは特に依存症を促すものです。

このように、いいとこまったく無い喫煙です。今お吸いになられている方々はすぐに止める方向へ進まれます事をお進めいたします。今は色々の方法がありますので是非、主治医又はカウンセラー等の方々にアドバイスを頂いて下さい。

最後に喫煙者のご家族、お友達が理解を示し喫煙者の方々が禁煙に進んでゆけるように、ポジティブな励ましを示される事をお勧めいたします。

2015年6月24日 水曜日 13:51

お酒の話

“百薬の長い”と言えば皆様もご存知の通りお酒の事を指します。ただこの諺はまだ続きがある事も忘れてはなりませんね。お酒は“百薬の長い、万病の源”と言うのが正しく、都合のいい所だけを強調するととても危険です。

お酒にも色々な種類がありこのコラムではそれぞれについてお話しするのは無理ですが、一応アルコールによる薬用効果、そして害について今日は少し説明したいと思います。

まず薬用効果ですが、アルコールは消毒のためにとても役立ち、外用としての使い道は多いです。内服用としては一時的な血管拡張を促すので血行を良くさせ、身体を暖めるなどの理由でカゼ薬としてもよく使われます。そして最近よく言われる赤ワインなどにあるポリフェノールが動脈硬化を防ぐと言うデータが出ています。

しかし上記の効果はあくまでも薬用で、本当に少量ですむものです。出来ればお酒は控えていただくのが良いのですがどうしてもと言う場合は一日日本酒で一合ぐらいまでとして頂きたいのです。一合と言うのは約180ccの事で普通の小さめのコップ一杯分ぐらいです。これ位ですと大人の肝臓でも負担が比較的少なく代謝できるからです。毎日それ以上飲むと肝硬高や高血圧になることが示されています。血圧が上ると心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、腎不全、心不全など色々な病気にかかりやすくなります。一時的な飲み過ぎでも大変身体に毒性があり、血中濃度が0.4%を超えますとたいていの人は死亡してしまいます。0.4%と言うのは普通の人で血中に10ccから20ccぐらいのアルコールを静脈に直接入れた場合です。肝臓がしっかりとアルコールを代謝してくれないと一合のお酒でも大変な事になりかねません。

それから身体に直接は影響しないですが、恐ろしい弊害がお酒には沢山あります。まずは交通事故です。多くの死亡事故にはお酒が関わっています。本当に残念な事です。少しぐらい平気だろうと思っていてもお酒一杯目から私達の反射神経は鈍ります。家庭内暴力、貧困などもお酒が関わっている事が多いのです。依存症の診断を受けた方は完全にお酒を断つ事をお勧めいたします。それについてはぜひ主治医かカウンセラーに必ず相談してください。

最後にお風呂とお酒ですが、もしどうしても飲まれるのならお酒はお風呂の後にしてください。お風呂とお酒両方で血管を拡張してしまい、お風呂で低血圧になり倒れる恐れがあります。また入浴後少し身体が冷えた時に血圧が急に上がり、脳梗塞などを起こしやすくなるからです。それでは又この次まで皆様の健康増進を祈っております。

 

2015年5月18日 月曜日 10:20

コンピューターによる疲れ目の話

 疲れ目、もう少し専門的な言葉を使うと眼精疲労により困っている方々は結構いらっしゃるようです。ということで、今回は眼精疲労、特にコンピューター使用が原因となっている眼精疲労に焦点をあてて、お話を進めてみましょう。この問題に関しての簡単な対処法はコンピューターを使うのをやめることですが、今の時代それはとても無理ですね。交通事故を無くすために車を無くそうというのと同じぐらいナンセンスな考えかもしれません。実際、私自身も今コンピューターのスクリーンを見ながらこのコラムを書いております。

 目が疲れるといっても、目のどこが疲れるのだろうと思われる方も多いと思います。なぜなら、見るというのはどちらかというと受身の動作に思えてしまうからです。目は外から入ってくる光景、映像、プリントなどを受け止め処理しているだけのような気がしますが、見るためには実際にはたくさんの筋肉、神経が自動的に働き、目に入れってくる光や影を私たちが理解できるものへと変えているのです。ですので、体のほかの部分と同じように、疲れる要素は十分あります。簡単な例を挙げますと、それぞれの目の周りには六つの筋肉グループあり、それらが目を反射的にまたは意図的に見るべき方向へ目を向けてます。それ以外にもレンズをコントロールする筋肉、瞳孔の大きさをコントロールする筋肉などがあり、それらは常にとてもコンプレックスな仕事を難なく秒刻み以上のスピードでこなしています。

 コンピューターを使う場合、どうしても近距離で画面を見ることになります。ただでさえ、近くのものに焦点をあてると目は疲れるのに、蛍光を発する画面が目のすぐ前にあります。テレビを目の前で見続けながら、神経を張って文字を書いたり、読んだりしているようなものです。この場合、瞳孔、レンズをコントロールする筋肉が緊張し、張り詰めています。なぜなら、近距離のものを見る時も、明るい画面を目の前にする時も、それらの筋肉がもっとも収縮する事を必要とするからです。また蛍光は熱を発するので、どうしても目が乾きやすくなります。目にはとても負担です。

 対策として考えられるのは、まず30分に一度は目を休めることです。近くを見るのとは逆に遠くを見ることは目の筋肉を緩めます。色は自然の緑が目に優しいです。次に、出来れば画面にフィルターを付けて下さい。それは光の分散を防ぎ、必要のない電磁波が目に届くのを少なくします。それから画面を目線よりすこし下げることも簡単な手段です。そうするとまぶたの開きが少なくなり、目の渇きを減らします。生理食塩水の目薬を数時間毎に目に数滴入れるのもいいと思います。そしてできるだけ、画面が明るすぎなく、暗すぎないようバランスをとってください。明るすぎても、暗すぎても、目に負担になります。部屋の明るさと同じぐらいに保てるのが理想のようです。

 仕事に熱中すると私たちは目の負担を忘れたり、無視したりしてしまいがちですが、働き者の目も大切にしながら、上手く長く付き合いましょう。それでは。

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プロフィール

Dr. Yutaka Niihara(新原豊), MD, MPH

1959年生まれ。東京都出身。
ロマ・リンダ大学宗教学科卒、同大学医学部卒。
ハーバード大学公衆衛生学修士卒。
Emmaus Life Sciences, Inc. President and CEO
UCLA 医学部教授(University of California, Los Angeles Harbor-UCLA Medical Center)

エマウス・メディカル・ジャパン株式会社

113-0033 東京都文京区本郷2-20-11 石飛ビル 1F TEL:03-6801-8250 / FAX:03-6801-6166
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